UXリサーチをプロダクト戦略へ活用する方法

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  • UXリサーチ

  • 事業戦略

    サービスやプロダクトが成長するにつれ、機能は複雑になり、競合も増加します。同じ領域のサービスは似た機能を備え、場合によっては「あっちのサービスにはこの機能があるから…」と、新機能を開発するような「機能の星取り合戦」が行われる場合もあります。

    このような現象は「コモディティ化」と呼ばれ、事業成長を鈍化させる課題の1つとなります。

    コモディティ化 : 市場が成熟するにつれて サービスが似通ってくること

    コモディティ化を避けるために、企業は新たな発想を求め、斬新な機能を追加するものの、顧客が求めてない機能は差別化にはなりえません。

    このドキュメントでは、コモディティ化を避け、事業成長を続ける方法として、UXリサーチを事業戦略に活用するためのフレームワークをご紹介します。

    • ユーザーインタビューを行っているが、場当たり的な改善にとどまっている状況を変えたい

    • 施策単位でのリサーチしか行えておらず、さらに大きなインパクトを生みたい

    • リサーチの必要性を感じているものの、どう活用したら良いかイメージが湧いていない

    といった方は、ぜひ最後までご覧ください。

    コモディティ化を避けるための戦略とは

    限られたリソースの中で、適切なポジショニングをするための戦略に「ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略」があります。

    ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略:5つの「顧客に選ばれる理由」を明らかにし 3つのランクに点数化し分ける戦略

    星野リゾートでも実践されているこの戦略は、「顧客に選ばれる理由」を5つに分解し、さらにそれらを点数化するフレームワークです。

    ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略の特徴として、

    • 時間の限られた企業やチームのための、選択と集中を行うための実践的なフレームワークであること(机上の空論のような戦略論ではないこと)

    • 理解しやすいシンプルなフレームワークであること

    • ユーザー理解(顧客理解)と事業成長を強力に繋ぐフレームワークであること

    が挙げられます。

    本ドキュメントでは、ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略を、デジタルプロダクトでも使いやすいようにアレンジを加えて解説していきます。

    UXリサーチからファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略へ

    ここからは、具体的にファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略を実践する際のステップを紹介します。ぜひ現在担当しているサービスやプロダクトを思い浮かべながらご覧ください。

    1. 顧客に選ばれる理由を、5つに分解する

    まずは、顧客やユーザーが自社サービスを購入、選択している理由を、5つに絞ってピックアップします。

    ECサイトを例にすると、以下のような粒度でまとめると良いでしょう。

    5つの「顧客に選ばれる理由」の例が記載されている。1. 豊富に商品があるから 2. 困った時のサポートが手厚いから 3. すぐにほしい商品が見つかるから 4. 返品が簡単だから 5. 信頼できるレビューがあるから

    このステップで重要なことは、選んだ5つ全てが「実際に顧客が感じていること / 選んでいる理由」でまとめることです。そして、できるだけ顧客が使っている言葉を使いましょう。

    5つの「顧客に選ばれる理由」をピックアップする際のポイントとして2点記載されている。顧客の言葉で書かれていること、ファクトに基づいている

    また、選ばれる理由は、プロダクトの機能だけではなく、価格やサポートなど事業全体の要素を加味して整理します。

    この時点で明確に5つ出せない場合は、顧客解像度が十分でない可能性が高く考えられます。ユーザーインタビューなど、定性リサーチを使って、購入理由やその時の行動、他の選択肢などのコンテキストを把握しましょう。

    2. 点数をつける

    次に、ピックアップした5つに、以下のルールに沿って、点数を付けていきます。

    • 5点 … 「〇〇といえば、あのサービス」と言われるような、その点において第一想起を得られている。顧客が、その点においては他のサービスを想起することなく、最善の選択肢と考えている。(市場支配レベル)

    • 4点 … 顧客がその点を好んで買っている。他の選択肢よりも、その点において秀でており差別化できている。(差別化レベル)

    • 3点 … 顧客が標準的だと感じるレベル。サービスを受け入れられるライン。(業界水準レベル)

    • それ以下 … 3点に達していない

    このステップでの最も重要なポイントは、「成功する企業は、5点 / 4点 / 3点 / 3点 / 3点である」ということです。

    つまり、特定の点で市場を支配するレベルであり、特定の点では差別化ができており、その他は業界水準であるというバランスが重要であるということです。

    全ての選ばれる理由において5点を出すことは非現実的であることはもちろん、顧客に明確な訴求できておらず、必要以上のコストをかけてしまっていることを表します。

    また、「5つのうち3つは業界水準でも良い」ということが、ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略が明らかにした特筆すべき事実でもあります。

    3. アクションプランを決める

    いよいよ最後のステップです。ここまで来れば、すでにあなたが関わるサービス・プロダクトへの解像度は、非常に高いものになっています。

    この段階では、2つの視点を意識して、アクションプランや目標を定めましょう。

    1. ある要素の点数を上げて、5点や4点をつけられるようにする(競争優位性をつくる)

    2. 3点に満たない要素を引き上げる(LTVを高める・解約可能性を下げる)

    3点に満たない要素がある場合は、サービスは持続不可能で、ブランドも毀損されると言われています(極端な例として、価格も手頃で、店員の対応も良いファッションブランドでも、衣服のずさんな管理でしわだらけな状態を想像してみてください)。

    2つのアクションの方向性を意識しながら、5点 / 4点 / 3点 / 3点 / 3点となるようにしましょう。

    注意 : 3点ラインは常に変化する

    ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略は、ひとたび理想的な点数を取れたら終わり、ではありません。業界水準となる3点のラインは、新しいサービスの普及や、顧客の期待が変化するたびに変わる可能性があるからです。

    市場の変化に合わせて、3点のラインも変動することに注意しながら、アクションプランや目標を設計しましょう。

    UXリサーチの真価は、自己認識と市場認識の一致

    ここまで、ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略を使って、UXリサーチを戦略に活用する方法をご紹介しました。

    顧客に選ばれる理由は、顧客の行動の理由や意思決定の背景など「コンテキスト」を明らかにすることによって、初めて言語化することが可能です。

    言い換えると、事業戦略やプロダクト戦略の視点で見た時、UXリサーチの役割は「自己認識と市場認識の一致」であると言えます。

    つまり、社内やチーム内で出された「これがあれば売れるだろう」という自己認識と、実際に顧客が感じている市場認識を揃えることが、UXリサーチにおける重要な役割ということです。

    自己認識と市場認識のズレが大きくなるほど、「ここに注力しよう!」といった事業計画は、効果の出ないものとなり、「頑張ってリリースしたのに、全然結果が出ない…」状態に終わります。

    顧客が選ぶ理由と企業の注力領域がズレている場合の図。顧客が選ぶ理由に注力しないと解約可能性が高まり、顧客が求めていない箇所に注力すると余分なコストがかかる

    ズレの大きさは、解約率の高さやコスト(支出)の大きさに直結し、人件費やマーケティング費用、従業員のやりがいまで大きな損失を生みます。

    逆に、顧客と企業が共通の「選ばれる理由」を見ている時、投資効率 (ROI) は最も高まり、限られたリソースの中で、大きな結果を出すことができるのです。

    Centouでは、「顧客に選ばれる理由」をスムーズに分析し、可視化することが可能です。UXリサーチを事業戦略に活用したい方は、ぜひこちらのページからお問合せください。

    顧客論理と企業論理をつなぐ、ファイブ・ウェイ・ポジショニング戦略、ぜひ実践してみてください。

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