名探偵コナンに学ぶ「インサイトを得る力」の磨き方
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インサイト

企業が顧客理解を重視するようになってずいぶんと経ちました。しかし「インサイト」という言葉は、いまだに特別なものとして扱われがちです。
しかし、本来インサイトは、もっと日常的で、もっと誰にでも扱える概念です。
本ドキュメントでは、インサイトをどのように鍛えていくことができるのか、表面的なTipsに頼らない、シンプルなトレーニング方法・上達のための考え方を提供します。インサイト抽出には特別な専門家である必要はない、むしろ、日々の観察を積み重ねることが、上達への最短ルートです。
インサイトにまつわる誤解の一つが「インサイトはユーザーが語ってくれるもの」というものです。実際にユーザーインタビューをしても、対象者がインサイトを語ってくれるわけではありません。
ユーザーは行動を語り、感情を語り、時に自身の推測を語ります。しかし、それらの動機を正確に説明できる人はまずいません。
「〇〇だから、私はこの商品を選んでいるんです」と語られる言葉の奥には、多くの場合、本人が認知していない動機が隠れています。IMA(国際的なインサイトマネジメント学会)でも、以下のように定義されています。
コンテクスト(背景・文脈)に沿った観察結果であり、組織がどのように行動し成功を収めるかを変える可能性があるものである。
参考 : https://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/transform/20220719.html
つまり、「インサイトは語られるものではなく、読み取るものである」姿勢こそが、インサイトを得るための基本的なスタンスです。
では、何をどう読み取れば「良いインサイト」が得られるのでしょうか?
インサイトを得る力を身につける上で、「名探偵コナン」はとても良い教師になります。
コナンくんが事件を解くとき、犯人から率先して動機を語ることはありません。散らばったファクトを拾い集め、それらを整理し推理としてまとめていきます。

たとえばコナンくんは、
どこで言い淀んだか
何に反応して感情が動いたか
発言と行動がどのように矛盾しているか
どの事実とどの事実が関係しているか
を静かに観察しています。
ユーザーインサイトも同じです。コナンくんの推理が、証拠を集めて組み立てながら出来上がるように、ファクトを集めながらインサイトへとまとまっていきます。

そして、(毛利小五郎のような当てずっぽうの推理ではなく)コナンくんのような名推理を出すには、発言や行動などの事実を集める力、そして整理してまとめる力、この2つがインサイトを得るために鍛えるべきスキルが必要です。

良いインサイトは、事実を集める力とまとめる力の組み合わせで出せることが分かりました。これらの力を身につけるには、次の3つのトレーニングが有効です。

「〇〇は刺さらない」という事業側の言葉ではなく、「ユーザーは〇〇に不安を感じている」というユーザー主語に統一して書いてみましょう。
これだけで視点が変わり、インサイトの材料が集まります。
インサイトは単発の発言からは生まれません。
複数の発言を組み合わせたときにこそ、その構造が見えてきます。
少なくとも3〜5個以上のファクトを組み合わせて、並べてみたりまとめてみる癖をつけましょう。
「なぜこの機能が欲しいと言っているのか?」「なぜ罪悪感を感じるのか?」「なぜ手軽さが必要なのか?」
並べたファクトに対して「なぜ」を重ねることで、深い層にある価値観が浮かび上がってきます。
※ 実際にユーザーに問いかけるときは「なぜ」を繰り返すと詰問っぽくなってしまうので問いかけの仕方は工夫が必要ですが、思考としては「なぜ」を重ねましょう。
行動が変わるポイントまで掘り下げたら、それがインサイトになります。ハーゲンダッツなどのブランド育成に携わった桶谷功氏はインサイトを「消費者が思わず動いてしまう心のホットボタン」と表現しました。
このような「行動が変わるポイント」(インサイト)は無数にあります。企業目線では、自社のプロダクトや事業に必要なものをピックアップすることが重要です。
インサイトは、ユーザーインタビューの場でなくてもトレーニングすることができます。たとえば、スーパーの棚前は、判断や迷いが凝縮された場でもあり、インサイトを抽出するための絶好の練習場です(学校でも職場でも似たことができます)。
まずはスーパーの棚前で、次のような観察をしてみましょう。
ある女性が、同じ棚の二つの商品を手に取り、どちらも裏面の成分表示を数秒確認していた。一度棚に戻したあと、再び片方を取り、価格ラベルに目を向けてからカゴに入れた。その直後、入れた商品をもう一度取り出し、棚に戻した。
ここからユーザー主語でファクトを出してみます。
成分表示を確認した
価格ラベルを見た
カゴに入れたあと、再び棚に戻した
推測や事業目線を加えず、ユーザーを主語にした事実だけを書き留めます。
次に観察した事実を整理し、その女性が「なぜ」そのような行動をしたのか考えます。
成分表示を見る → 何か基準を確認している可能性
価格を見る → 価格も判断材料にしている
カゴと棚を行き来する → 決めきれない理由が存在していた可能性
ユーザー目線(主語)の事実をもとに「なぜ」と問うことで、ユーザーの行動に対する仮説が考えられるようになります。
先ほどの複数の事実から得られた仮説をもとに、ユーザーはなぜそのような行動を取ったかを考えていきます。
すると、たとえば「栄養価と価格を照らし合わせながら、後悔しない選択をしたい」などユーザーのインサイトが抽出できるのです。
ついでに「自分がスーパーの店長なら...」と妄想してみて、どんな商品の宣伝の仕方をすると先ほどの女性はベストな選択ができたか?と考えてみるのも、使えるインサイトを出すためのトレーニングになります。
ユーザーインサイトという言葉は、難しさを感じたり、心理的なハードルが高くなりやすいものです。実際に、現場でも人によってその定義が違うことはよくあります。しかし、実態としては非常にシンプルです。
ユーザーを主語にファクトを集める
ファクトどうしの関係性や構造を整理してまとめる
この2つができれば、誰でもインサイトにたどり着くことができます。
むしろ、これからの企業にとってインサイトは、特別な専門家だけが扱う道具ではなく、意思決定を支える「当たり前の材料」に変化していくでしょう。
個人の視点でも、インサイトはひらめきではなくスキルであると捉え直す必要があります。

名探偵コナンから学ぶ、良いインサイトのための「観察と思考の技術」、ぜひ身につけてみてください。
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