正しい顧客要望への向き合い方

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    プロダクト開発やサービス運営において、必ず向き合うのが顧客・ユーザーからの要望です。

    無視したくない気持ちがある一方で、開発リソースなどの制約もあり全ての要望に応えることはできません。そして、そのまま要望に応えた結果「思ったほど喜ばれない」といった経験をされた方も多いかもしれません。

    では、どのような要望に応えるべきなのでしょうか?あるいは、どう要望に応えるべきなのでしょう?

    本ドキュメントでは、顧客要望に対しての向き合い方を解説します。

    要望の正体は「つまずき」

    顧客要望には、さまざまな種類があります。

    • 説明が分かりづらい

    • 〇〇機能が使いづらい

    • 思っていた結果が表示されなかった

    どんな要望であれ、顧客(ユーザー)は何かしらやりたいことに対してつまずいていることを表しています。そのつまずきが声や文字として現れ、要望として企業に届けられます。

    つまり、要望を分解すると3つに分けることができます。

    1. 顧客の現状

    2. 実現したいこと(アウトカム)

    3. 1と2の間にあるハードル

    ハードルを越えられなかった場合に顧客はつまずき、不満やご意見となって現れます。

    ハードルを下げることが本質ではない

    では、ハードルをなくすことが良いことなのでしょうか?

    実はハードルをなくすことは、あくまで対処法の1つのすぎません。

    例えば、あなたがクレジットカードを使って、ショッピングや旅行サイトでの決済をする場面を考えてみましょう。

    • あなたはクレジットカードを財布から取り出し

    • カード番号を入力し

    • 3桁か4桁のセキュリティコード(CVV)を記載します。

    多くの場合、ブラウザやサイトにクレジットカード情報を保存していても、セキュリティコードの入力は求められます。

    そして、このセキュリティコードの入力は、おそらく多くの人が「なくなればいいのに」とは思っていないでしょう。これは、「安全に決済したい」という実現したいことが明確なためです。

    クレジットカードの例は極端な例ですが、CRMなどのB向けサービスでも同じようなことが言えます。つまり、実現したいことの強さや明確さによってハードルを越えられる場合もあるのです。

    つまり、ただハードル(コスト)を下げれば良いわけではなく、実現したいこと(アウトカム)を捉えたアプローチをすることが必要なのです。

    実現したいことによって、適切なアプローチを選択しましょう。

    1. 実現したいことがすでに明確な場合 : ハードルを下げる

    2. 実現したいことがあいまいな場合 : 実現したいことを明確にする(例 : サービスサイトや広告、セールスの改善)

    3. ハードルに対して実現したいことが小さい場合 : 実現したいことを大きくするアプローチ(例 : プロダクト、カスタマーサクセスの改善)

    実現したいことを捉えると、プロダクトは大きく成長する

    toCサービスでもtoBサービスにおいても、実現したいことを捉えることで、要望を正しくユーザー価値に変換することができます。

    音楽ストリーミングサービスのSpotifyでは、ユーザーから「オフラインでも音楽を聴きたい」という要望が多く寄せられていました。

    初めは単純にオフラインモードを追加することが考えられました。しかし、ユーザーインタビュー・データ分析などにより、以下のようなインサイトがあることが分かりました。

    • (オフライン再生をすることで)データ通信量を節約したい

    • インターネット接続が不安定な場所でも利用したい

    そこで、Spotifyは「オフラインプレイリスト機能」を実装しました。この機能により、ユーザーは自分の好きなプレイリストやアルバムをあらかじめダウンロードし、インターネットに接続していない時でも聴くことができるようになったのです。

    この機能により、結果として満足度の向上や有料会員の増加など、さまざまな事業インパクトが生み出されました。

    また、Slackでは「特定のキーワードを指定して通知を送る」という機能があります。この機能は「チャンネルごとの通知を設定したい」要望から生まれたものです。

    初めは、単純なチャンネルごとの通知のオン/オフ機能を提供することも考えられました。しかし、調査を進めると以下のようなインサイトが得られました。

    • (チャンネルごとの通知を設定したいのではなく)DMなども含めて、特定の状況に合わせて通知をカスタマイズしたい

    通知のカスタマイズについてのインサイトを活用し、Slack開発チームでは「特定のキーワードを通知する機能」「DMのみ通知を受け取る機能」などを開発しました。

    結果として、Slackの利用時間の拡大、継続率の向上につながりました。またSlack社内のカスタマーサポートチームの工数削減にもつながったとのことです。

    要望はチェックリスト消化ゲームではない

    ここまで、要望が生まれる構造や適切に要望をプロダクトに落とし込んだ事例について見てきました。

    1. 要望は、現状と実現したいこととハードルの3つ関係によって生まれる

    2. 中でも、最も重要な要素は実現したいこと(アウトカムについてのインサイト)

    3. 実現したいことにフォーカスすると、大きな成果を得られる

    では、顧客要望を上記のように捉えることは分かったものの、日々おとずれる要望に対して、具体的にどのように対処すれば良いのでしょうか?

    よくある失敗として、要望をリストアップして一つ一つ潰していくスタイルがあります。顧客に向き合いたいという姿勢から出てくるアプローチであり、姿勢自体は素晴らしいものがあります。

    一方で、実現したいことを無視したまま、要望にただただ応えていく「チェックリスト消化ゲーム」をしてしまうと、要望の根本解決にはつながりません。

    そして、根本解決につながらないばかりか、余計にプロダクトを複雑にしたり、ソースコードを肥大化させ開発スピードを遅くしたり、難解なUIを提供してしまい認知負荷を高める恐れもあります。

    集めた要望は、要望と解決策の対応表にするのではなく、①ファクトに変換し、②他のファクトと合わせて、「つまりこういうことが実現したい」というインサイトにまとめると良いでしょう。

    要望だけでは背景やコンテキスト、本気度が分かりづらい場合も多いため、ユーザーインタビューなど深くて具体的な情報もセットにすることで、確度の高いインサイトを得られます。

    要望をそのまま開発につなげるのではなく、あくまで1つの材料として捉えることで、プロダクトをシンプルに保ちながら、多くの価値を生むことが可能になります。

    要望への正しい向き合い方は、「奥」を見ること

    ここまで、顧客要望への向き合い方を実例とともにご紹介しました。

    要望において、最も重要なポイントは要望自体よりも「実現したいこと」(= アウトカムについてのインサイト)であり、実現したいこと次第で、ソリューションは大きく変わります。

    言い換えると、要望への正しい向き合い方は、「要望の"奥"を見ること」と言っても良いでしょう。反射的に要望自体に応えるのではなく、他の情報とセットで、奥にあるインサイトを捉えることで、プロダクトの成果は大幅に変わります。

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