なぜリサーチは組織に浸透しないのか?
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組織浸透

プロダクト開発、マーケティング、デザイン、新規事業…あらゆる場面で徹底したユーザー理解の必要性が叫ばれる昨今。
ここ数年で、UXデザイナー・UXリサーチャーなど、「ユーザー」や「ユーザーエクスペリエンス」を冠する職種も出てきました。
一方で、ユーザー理解やユーザー視点での企業の成長を担うこれらの役割は、まだまだ組織内での市民権を得られない現状もあります。

リサーチャーやUXデザイナーに限らず、ユーザー視点でプロダクトやマーケティングを行う方にとっても、より理解を得たいと考えている人も多いでしょう。
では、組織において、さらなる理解を得て、ユーザー理解やリサーチが自然になるにはどうすれば良いのでしょうか?
本ドキュメントでは、ユーザーリサーチやユーザー理解の組織浸透が進まない主要な理由を解説します。
リサーチやユーザー理解の浸透が進まない組織には、いくつかの共通点があります。どれも非常に陥りやすい落とし穴のような存在です。
その共通点とは、以下の4点です。

「理解してもらうこと」から始めているから
主語を間違えているから
事業や組織のスピードと合っていないから
リサーチやユーザー理解が不透明でとっつきづらい存在だから
これらのアンチパターンを避けることによって、リサーチやユーザー理解は、組織にとって当たり前でなくてはならないものへと変化することができます。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
組織浸透を阻む理由の大きな理由の1つは、この「理解から始めてしまう」ことです。

例えば、ある企業に入社し、リサーチが組織浸透されていない状況を見たあなたは、すぐにワークショップや勉強会の用意を始めるかもしれません。
これは失敗しやすいアプローチである可能性が高いでしょう。

そして仮に、運良く社内の有志が集まって、ワークショップは盛り上がり、社内アンケートも上々、あなたは満足感を得られたとします。
しかし、1週間も経てば社内は元通り。ほとんど何も変わらず、あなたはワークショップ以前と同じ景色を見ることになるでしょう。
そして、最悪のシナリオは、あなたのモチベーションも下がり、「ウチの会社は、そう言う文化がないから」と嘆くばかりで、あなたも変革のアクションを起こさなくなることです。
このような事態を避けるためには、いくつかの前提を捉えることが必要です。
まずは、(特に歴史のある企業や大きな組織に多いですが)これまでの会社の成長は、リサーチやユーザー理解以外のものによって、つくられてきたかもしれないということです。

必死に営業組織が、顧客基盤を拡大してきたからこその今の事業かもしれません。時代の波に乗って、ホットな市場にポジショニングできたからかもしれません。素晴らしい起業家のおかげで立ち上がった事業の可能性もあるでしょう。
これらの前提を無視して「リサーチが大事なんです」と言っても、会社の力学が変わらないのは至極当然のことでしょう。
そして、各職種レベルにおいても同様のことが言えます。

各職種には、それぞれの「やり方」(成果の出し方)があり、日々そのやり方に磨きをかけています。どの役割も、自身の成果に向けて忙しくしていることでしょう。

このような前提を踏まえると、「まずは理解してもらおう」というアプローチは、あまり得策ではありません。
では、理解から始めずに、何から始めるべきなのか?
それは、結果から始めることです。

ある事業、ある職種、どこから始めても良いでしょう。とにかく「使えるぞ、それ。リサーチというのか!」という状態をつくるところから始める方が、短期的にも中長期でも、良い変化を起こせるでしょう。

結果の出し方は、インパクトが大きければ大きいほど良いでしょう(以下の図の、左側「可能性を明らかにする」方がインパクトは大きくなります)。

組織浸透の大きな一歩は、理解から始めることを止め、結果から始めることです。
組織浸透を妨げる、2つ目の原因は、「リサーチを主語にしたコミュニケーションをしてしまう」ことです。

リサーチを浸透しようとしているのに、リサーチを主語に話してはいけないのかと、一見、直感に反するように感じられるかもしれません。
しかし、ここで考えるべきは「本当に社内のあの人は『リサーチ』を求めているのか?」ということです。

「ホームセンターにドリルを買いに来た顧客はドリルそのものが欲しいのではなく、穴を開けたいのだ。それならキリでもいい。」という有名なドリルの穴理論のように、本来必要なことは、リサーチ自体ではないことがほとんどです。
そのため、リサーチを目的(主語)にするのではなく、相手がリサーチを通じてやりたいこと(リサーチのアウトカム)を主語にして会話をする方が、組織浸透において有効なのです。

リサーチを主語にしないためには、その先に徹底的な事業理解・組織理解が必要となります。
「リサーチしましょう」ではなく、「一緒に事業伸ばしましょう」といったコミュニケーションこそ、結果としてリサーチの組織浸透につながるのです。

3つ目の原因は、スピード感の違いによるものです。

プロダクト開発やマーケティング、あらゆる領域で、ますますスピード感が求められ、改善のサイクルが素早く回されています。さまざまな領域で、アジャイル化しているとも言えるでしょう。

そのような流れに逆行するかの如く、追加でリサーチをしましょうと声をかけても、なかなか受け入れられづらいのが現状です。
ある施策ができてから、リサーチを計画し実施するのでは当然遅く、また、どこにデータがあるのかも分からない中で、会社内の情報の海をさまよっている時間ももったいないでしょう。

リサーチ活動が「スピード感を阻害するもの」と捉えられてしまっては、「大事だと思っている人はやる」という状況から抜け出すことはできないでしょう。
この状況を抜け出すには、徹底的な先回りと「欲しい時に欲しい情報がある」を叶えるデータ基盤が必要です。

スピード感を持ったリサーチ活動を実現し、事業や組織のペースに足並みを揃えることが、組織浸透の大きな一歩です。
あわせて読む : なぜ今、UXリサーチに「アジャイル」が必要なのか?
最後の原因は、リサーチ活動が不透明なことによるものです。

ある社内メンバーがリサーチ結果を受け取った時に、よくある反応として以下のようなものがあります。

それって本当?(真偽やニュアンスへの疑い)
何人かが言っているだけじゃない?(ボリュームへの疑い)
どれぐらい強い課題なんですか?(課題の大きさや強さへの疑い)
これは何も、難癖をつけたくて言っているわけではなく、意思決定を行うメンバーにとっては、非常に重要な関心ごとです。
意思決定者が納得感を持ち、成果につながる意思決定をするためには、結果の分かりやすさだけではなく、そのプロセスや根拠まで透明性を高くするべきでしょう。

リサーチ活動は、リサーチを実施するだけでなく、その結果を事業に活用されてこそ輝きます。つまり、リサーチ活動は、リサーチャーだけで完結しないものであり、さまざまな職種が関わる以上、透明性の高さは必要不可欠です。
不透明さをなくすことは、組織浸透の大きな一歩になります。
ここまで、リサーチの組織浸透が進まない4つの原因をご紹介しました。

組織やチームによって、当てはまるものや当てはまらないものがあるかもしれません。
いずれにしても、これらの落とし穴を避け、組織浸透を促すには、以下の4点がポイントです。

理解から始めるのではなく、結果から始める
リサーチを主語にするのではなく、事業を主語にする
リサーチによって事業を遅らせるのではなく、先取りしてペースを揃える
不透明で疑問の多い存在になるのではなく、透明で可視化された状態をつくる
こうしてリサーチは、あなたの会社の新たな武器となり、自然にユーザー目線の議論が交わされるようになり、強力な組織文化となっていくことでしょう。
Centouでは、リサーチの組織浸透を強力に支援するツールやサポートを提供しております。ご興味のある方は、ぜひこちらからお気軽にお問合せください。
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