経営はユーザーリサーチに2倍投資すべきである —— 経営視点でのユーザーリサーチの価値について

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    顧客理解やユーザー体験の重要性が叫ばれる中、日本でも多くの企業がユーザーリサーチやN1インタビュー、ユーザーヒアリングを行うようになりました。

    スタートアップやベンチャーでは当たり前のように行われ、上場企業でも約6割がユーザーリサーチを行っていると言われています。

    一方で、「UXリサーチャーを採用したものの、どのような成果を求めれば良いか分からない」「ユーザーリサーチを行っているものの、正直成果につながっているか分からない」といった場合も多くあります。事業成果につながらない顧客理解・リサーチには、いつまで経っても投資は増えません。

    本ドキュメントでは、「ユーザーリサーチは、企業にとってどんな意味を持つのか?」について経営の視点から徹底的に見つめ直します。ユーザーリサーチや顧客視点を組織にインストールしたい方、ユーザーリサーチと事業成長をうまく接続したい方への強力な道しるべとなれば幸いです。

    日本ではユーザーリサーチへの投資額がまだまだ少ない

    国際的なマーケティングリサーチ団体であるESOMARによると、日本がユーザーリサーチにかける費用の割合は、広告費の約4.7%だといわれています。

    一方で、アメリカやイギリス、インドでは、広告費のうち23%〜26%がリサーチにかけられており、日本の約5倍ものリサーチ投資がなされています。

    上記の数値は、広告やマーケティングに関わるリサーチであり、プロダクト開発に関わるリサーチ(UXリサーチ / ユーザーリサーチ)も概ね同じ状況か、もしくはさらに投資が少ない状況だと推定されます。

    さらに、リサーチ投資の多いトップ4カ国(アメリカ・イギリス・中国・インド)は、ユニコーン(評価額が10億ドル以上、設立10年以内の非上場のベンチャー企業)の数が多い国トップ4と同じ顔ぶれになっています。

    市場環境など他の要因もあるため、単純に日本と比較することは難しいとはいえ、日本でのリサーチ投資は、グローバルで見るとまだまだ少ない状況であり、各企業は2倍投資を増やしても足りない状態だと言えます。

    ユーザーリサーチは、全社をあげて取り組むべき問題である

    では、なぜ日本企業では、ユーザーリサーチへの投資が少ないのでしょうか?本ドキュメントでは、主にプロダクト開発におけるユーザーリサーチについて、その背景を探ります。

    リサーチへの投資が少ない企業には、以下のような共通点があります。

    1. 「ユーザー目線」「顧客起点」など掛け声ばかりで、KKD(勘・経験・度胸)での意思決定スタイルから脱却できない(発言力がある経営者やPMなどのワンマンチームで起こりやすい)

    2. ユーザーリサーチを、リサーチャーや特定部門だけの問題だと捉えている(職種別の縦割り組織で起こりやすい)

    3. 手法などのHowばかりに目線を向けてしまい、成果に目線が向いていない(専任のリサーチャーが陥りやすい)

    4. 意思決定プロセスの下流でしかユーザーリサーチが活用されず、自分たちの仮説の「帳尻合わせ」のような活用の仕方になっている(依頼をベースにしたリサーチ組織で起こりやすい)

    これらの特徴に1つでも当てはまる場合、ユーザーリサーチはそのポテンシャルを発揮できていない可能性が高く、投資対効果の悪い状態になっている危険性があります。

    一方で、ユーザーリサーチへの投資が盛んで成果を生み出している企業は、真逆の特徴を持っています。

    1. 施策から戦略まで、あらゆるレイヤーでインサイトドリブンな意思決定が徹底されている

    2. 職種や部門の垣根を超えて、顧客やユーザーのインサイトが頻繁に会話に出てくる

    3. リサーチャーも事業サイドも一丸となって、事業成果の創出にこだわっている

    4. 意思決定プロセスの上流から、ユーザーインサイトが活用されており、顧客に向き合うほど事業が伸びる構造ができている

    これらは、経営や組織全体で取り組むべきことであり、決してリサーチャーのみが取り組むだけで改善されるものではありません。

    経営視点で見る、ユーザーリサーチの価値とは

    ここまででユーザーリサーチへの投資量にまつわる問題は、単にリサーチャーやリサーチチームの問題ではないことが分かりました。

    では、経営目線でユーザーリサーチに投資する理由とは一体なんなのでしょうか?

    答えは非常にシンプルで「売上UPに直結するから」です。ユーザーリサーチは、本質的にプロフィットセンター(利益を生み出す部門のこと・コストセンターの対義語)になれる存在であり、あなたの会社の新しい競争力となるポテンシャルを持っています。

    これは、さまざまな調査や実績が証明しています。

    • 顧客体験に戦略レベルで取り組む企業は、その他の企業に比べて2倍以上の成長率を実現している(マッキンゼー)

    • 顧客の89%は、(プロダクトを含む)顧客体験の悪さを理由に競合他社に移行する可能性がある(Oracle)

    • Amazonの「1クリック注文機能」、Instagramの「ストーリーズ機能」、Zoomの「ブレイクアウトルーム機能」など、プロダクトのコア機能がユーザーリサーチから生まれている

    ユーザーリサーチを行っているものの、売上の増加につながっていない場合は、そのポテンシャルを十分に引き出せておらず、必要な投資が足りていない可能性が高く考えられます。

    人と仕組みの2軸に投資せよ

    では、売上の増加(事業成長)につながるユーザーリサーチのために、何に投資すべきなのでしょうか?

    よくある失敗は、「ユーザーリサーチ強化 = 専門人材の採用」と考えて、まず初手としてリサーチャーを採用することです。

    専門人材の登用は分かりやすい手段である一方で、ほとんどの場合リサーチャーを採用するだけでは何の成果も得られないばかりか、コストが増えただけ...ということになりかねません。

    なぜなら、専門人材がいても、事業とユーザーリサーチを接続する仕組みがなければ、成果に繋がらないからです。

    そのため、採用をする前に必ず考えたいこととしては、「私たちの事業やプロダクトは、どのような顧客理解をしたら伸びるのだろうか?」と、顧客理解と事業のつながりを明確にすることです。

    つながりを明確にすることで「どのような意思決定に、ユーザーリサーチが活用されていくべきか?」が見えてくるでしょう。

    ユーザーリサーチを強化することは、「インサイトドリブンな意思決定文化の構築」を行うことと同義であり、文化づくりは①仕組み②人の2軸がそろって初めて実現されます。

    人が増えても、仕組みが整っていなければリソースのムダづかいです。リサーチャーがすでにいる組織でも、これから採用を考えている組織でも、まずは「顧客と向き合うほど事業が伸びる仕組み」をつくり、次に人を増やして流れをさらに強くすることが、リサーチ投資の勝ち筋です。

    Centouでは、仕組みと人の両方を手厚く支援しております。ご興味のある方は、こちらのお問い合わせページより、ぜひお問い合わせください。

    職種と抽象度のマトリクスで、ロードマップを描く

    仕組みと人に適切に投資をしていくことで、ユーザーリサーチは確実に事業成長につながるものへと進化します。

    しかし、いきなり全ての意思決定がインサイトドリブンに行われるようになることは、現実的に難しいでしょう。

    そこで、職種と抽象度のマトリクスを使って、「どの意思決定から、インサイトドリブンにしていくか?」を考え、ロードマップを描くことをおすすめします。

    まずは、企業内で行われる意思決定を、職種と抽象度で分解します。

    次に、どの意思決定からユーザーリサーチを活用し、インサイトドリブンな意思決定にするのか順番を決定します。

    この順番こそ、企業におけるインサイトドリブンへの変革の道であり、顧客起点の企業になるための山登りのルートなのです。

    ある企業はプロダクト×具体施策から入り、ある企業はマーケ×戦略から入り...と登り方は企業によって千差万別です。

    インサイトドリブンな意思決定を推進する企業の事例は、こちらのページにまとめています。より具体的に知りたい方は、ぜひご覧ください。

    リサーチ活動は、とにかく上流へ

    ここまで経営の視点にフォーカスし、リサーチの価値やロードマップについてご紹介しました。

    ユーザーリサーチの投資増加は、組織全体の問題であるため、経営はもちろん現場の尽力も欠かせません。そこで、最後のパートでは、経営ではなくリサーチャーの立場を担う方にとって重要なことをご紹介します。

    現場のリサーチャー(もしくはリサーチ業務を担当される方)が、ユーザーリサーチへの投資を増やすために最も重要なことは、「とにかく上流の意思決定に関わること」でしょう。

    リサーチ活動の目標は、あらゆる意思決定をインサイトドリブンにすることによって、持続的な成長を実現することです。

    そのためには、手法やスキルに拘泥するのではなく、「成果を大きく左右する意思決定に、インサイトが食い込めるか」にこだわることです。

    成果が出ない土俵でいくら高度な専門性を発揮しても、組織全体の目線では「失敗」と言わざるを得ないでしょう。上流(戦略や方針レベル)の意思決定に食い込んでこそ、投資を引き出し、ビジネスとユーザー理解は初めて接続します。

    上流の意思決定に関わるためには、リサーチ自体(実査や分析)の知識や経験だけでなく、リサーチによって生める成果のレパートリーを増やすことや、事業理解を徹底することが必要です。

    リサーチャーも、「顧客理解やリサーチというアプローチでビジネスを行う人」であることを忘れないことが、投資を増やす最も基本的なポイントです。

    全社で一丸となって、リサーチ投資を増やす

    ユーザーリサーチに投資をすることは、「顧客・ユーザーに向き合うほど、事業がうまくいく構造」をつくることに他なりません。

    このような構造をつくるには、経営も現場も全社一丸となって、仕組みと人に投資をしていくことが必要です。

    適切にリサーチ投資を増やしていけば、インサイトドリブンな意思決定が社内に溢れ、ユーザーやお客さまからの嬉しい声が日々届くようになるでしょう。働くメンバーはやりがいに満ちてさらにエンゲージメントが高まるかもしれません。


    日本初のインサイトマネジメントSaaS「Centou」では、あらゆる意思決定をインサイトドリブンに行える仕組みを提供しています。リサーチ投資のご相談なども、こちらのお問い合わせページからお気軽にご相談ください。

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