なぜ今、UXリサーチに「アジャイル」が必要なのか?

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VUCA時代と叫ばれる変化の激しい現代において、高い解像度でユーザーを捉えプロダクトや事業に活かすUXリサーチはますます重要になっています。

AppStoreでは約178万ものアプリが配信(2022年時点)される一方で、日本人が1ヶ月で使うアプリは平均40(2021年時点)だと言われています。つまり、もしあなたがiPhoneユーザー向けにアプリを出しても、利用される確率は0.002%にすぎません。

Webサービスだとしても同様のことが言えるでしょう。日々新しいサービスが生まれ、ユーザーが求めるものも変化する中で、あなたのサービスを見つけてもらい、使い続けてもらうのは非常に困難なことだと容易に想像できます。

ノーコードツールやAIツールも登場し、あらゆるサービスやプロダクトは「どうつくるか?」の時代から「どう選ばれるか?」の時代へと焦点が変わっています。

本記事では、このような時代におけるUXリサーチ・ユーザーリサーチには何が必要なのかをまとめます。

リサーチは企業の「標準装備」に

マッキンゼーの調査によると、開発時にエンドユーザーへのインタビューを行っている企業は6割に上るとのことです。

デジタルサービスやITベンチャーに限らず、大手コンビニチェーンのファミリーマートでもリサーチ専門の組織ができたりと、もはやリサーチ活動は、将来への投資ではなく、企業の成長に必要不可欠な「標準装備」であると言えます。

また、組織内のさまざまなポジションがユーザーインタビューなどを行うようになってきました。

UXリサーチャーを置くなどリサーチ専門のポジションを設置する企業も登場しています。

リサーチと事業の関係性が変化している

このような流れの裏にあるのは「事業スピードの高速化」です。

厳密な計画をして、長期間開発を行うようなウォーターフォール型のプロダクト開発から、小さく価値を届けながら探索と適応を繰り返すアジャイルになり、事業の改善サイクルはますます素早くなっているのです。

アジャイルな価値提供のためには、正しい方向に探索と適応を進めていく必要があります。ゆったりと調査やレポーティングを行っていては、事業のスピードを下げてしまいかねません。

つまり、事業スピードの高速化に合わせて、リサーチにも変化が求められるようになっているのです。

リサーチにも"アジャイル"が求められている

では、事業の改善サイクルが高速になる中で、UXリサーチ・ユーザーリサーチにはどのような変化が必要なのでしょうか?

求められる変化を一言にまとめるのであれば、「リサーチのアジャイル化」と言えます。

そして、リサーチのアジャイル化は2つの軸で整理することができます。

  1. スピードの速さ

  2. インパクトの大きさ

図にすると以下のように表せるでしょう。

インパクトを縦軸に、スピードを横軸にした4象限の図が描かれている。右上と右下の象限には、それぞれ「戦略レベルでの活用」と「施策レベルでの活用」と記載されており、それら2つを囲って「このゾーンが重要」と記載されている

スピードはもちろん、価値提供に対するインパクトの大きさも、非常に重要な要素になっています。つまり、小さくリサーチを実施しながらも、大きなインパクトを生むことが求められているのです。

また、ここで注意すべきことは、施策単位だけのリサーチを繰り返していても、大きなインパクトは生めないということです。

事業成長を、いくつもの選択の連続だと考えると、そもそも選んだ道(可能性)が間違っていれば、いくらその道を調査しても大きなインパクトにならないためです。

施策単位での仮説検証のためにリサーチを活用することはもちろん、「そもそもの仮説を生むためのリサーチ」など、より上位の意思決定レイヤーに対してリサーチを活用することが重要です。これにより、事業の高速化に合わせたリサーチができるようになります。

「小さなリサーチ、大きなインパクト」を実現するには

では、小さくリサーチを進めながらも、施策レイヤーだけでなく大きなインパクトを生み出すためには、何をすべきなのでしょうか?

その鍵は、インサイトマネジメントと視座にあります。

「施策ができてから」では遅い

よくあるパターンとして、「施策が始まってから(リサーチの依頼や話題が出て)調査を行う」というものがあります。

リサーチが必要とされていることは喜ばしい一方で、施策全体の期間が長期化し、リサーチが「追加の工程」として認識される場合もあります。

このような状況では、「価値提供までの期間を長引かせる代わりにリサーチをするか、期間を短くしてリサーチをしないか」といった選択を迫られることが多くなります。

価値提供までのサイクルを早めたい一方で、リサーチが足枷のように「見えてしまう」といった状況です。

結果として、期間を優先してリサーチをしない場合や、言質を取るような意味のないリサーチを行なってしまう場合があります。

本来リサーチも価値提供を早めるための要素であるにもかかわらず、このような状況で、「うちの会社は、リサーチの必要性が理解されてないから...」とカルチャーや組織のせいにしてしまうのは、(気持ちは痛いほど分かる一方)非常にもったいないでしょう。

インサイトマネジメントで先回りする

このような無意味な対立構造をつくらないためには、リサーチ活動が徹底的に先回りしておく必要があります。

  • 施策が始まる前から該当施策に対してリサーチを行えるようにする

  • 過去データを活用するだけで進められる施策は、あえてリサーチをしない選択を取る

こういった「先回り状態」をつくるためには、過去のリサーチ結果が活用しやすい形でまとめられている(インサイトマネジメントができている)必要があります。

参考 : 過去のリサーチデータを無駄なく活用するためのデータ管理方法

そして、先回りするためにはリサーチ担当者が自ずと施策レイヤーだけでなく戦略や方針のレイヤーに関わる必要があります。戦略レベルの議論にリサーチ担当者が呼ばれるように、実績を積み重ねておくことも重要です。

逆に、リサーチ担当者が戦略レイヤーの視座を持たなければ、組織に真にリサーチが浸透することはなく、会社からはコスト部門として見られることは避けられないでしょう。

「経営がリサーチ大事だと言ってくれれば...」といったトップダウンの鶴の一声を頼みにするよりも、仕組みと視座の2つで結果を出すことから始めるアプローチの方がはるかに持続的で強力です。

真に「なくてはならない」存在になるために

ユーザーリサーチやユーザー理解は、その性質上「大事だよね〜」と多くの人や職種から共感を得やすい存在です。

一方で、素早く価値提供し、対価として売上を上げていく企業活動の中で、リサーチは常に「追加のコスト的な存在」と見られるリスクと戦う必要があります。

最も避けるべきパターンは、重要性は多くの社員が認識しているのに、かけるコスト(時間・金額)は非常に少なく、リサーチの予算はほとんど割り当てられていないといった状況です。

このような状況を避けるためには、以下のようなポイントを押さえたアジャイルなリサーチを実行しましょう。

1. インパクトとスピードの2軸で考える

2. 負け戦を勝ちにするよりも、勝ち戦を選ぶことに注力する

3. 徹底的な先回りをする、そのための「仕組み」と「視座」を用意する

これらを意識することで、リサーチ活動はより持続的なものになり、事業をさらに成長させる「なくてはならないもの」へと変貌するでしょう。

また、Centouでは、インサイトマネジメントの仕組みを高速で整備することが可能です。組織に合わせた仕組みづくりのご案内は、ぜひこちらのページからお問い合わせください。

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Author

  • Kenji Kato

  • 年間400名以上のユーザーインタビューを実践、5回の事業立ち上げ、顧客インサイトを活用し年間売上9倍の成長などを経て、現在はインサイトマネジメントシステム「Centou」のプロダクト責任者をしています。「あらゆる企業やチームがインサイト駆動で成長できる未来をつくる」をモットーに、さまざまな組織のインサイトマネジメントを支援しています。

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