centou

30分でわかるインサイトマネジメント(2025.12編)

5min
  • 過去イベント資料
30分でわかるインサイトマネジメント(2025.12編)

ハイライト

  1. インサイトマネジメントは競争優位を築く概念であり、早く始めた組織が有利となる
  2. 顧客接点の増加や生成AIの普及により、これまでのユーザー理解の問題が浮き彫りになってきている
  3. 構造的な問題は、「縦の問題(小粒なインサイト問題)」と「横の問題(閉じたインサイト問題)」の2つに整理できる
  4. 問題を放置すると「インサイト負債」がたまり、解消に膨大な時間がかかる
  5. 解決には、インサイトを事業を動かす 「大きな結論」 に引き上げること、そして組織全体で使える 「共有資産」 にすることが必要である
  6. 生成AIによって、インサイト基盤の重要性はますます高まり、インサイト基盤がある組織とない組織の差が広まる
  7. 早期からインサイト基盤に投資した組織は、一朝一夕では真似できない競争優位性を獲得する
  8. インサイト基盤に投資している組織は、職種・部門を超えて一貫した動き(Integrity)ができるため、生成AI等で得られる速さを価値に転換できるようになる

登壇資料

登壇者について

加藤 けんじ (Centou 創業者 / プロダクトマネージャー)

エンジニア→UIデザイナー→プロダクトマネージャーを経て、Centouを立ち上げ。これまでに5つの事業の立ち上げ・グロースに関わり、累計700名以上のユーザーインタビュー、最大年間900%の売上貢献を達成。顧客インサイト起点のプロダクト成長を得意とする。チームで顧客課題や価値を扱う難しさが原体験となりCentouを創業。「インサイト図鑑」などの発起人。日本、世界でのインサイトマネジメントの普及を目指す。(X : @kenjikatooo

解説

インサイトマネジメントとは

  • インサイトマネジメントを一言で表すと、「これまでのユーザー理解の問題点を解決する、事業インパクト指向の新しい顧客理解の戦略
  • もう少し噛み砕くには、以下の3点から誕生背景と潮流を理解することが手っ取り早い
  1. UX / ユーザーリサーチへの幻滅
    2020年頃、UX is Deadと言われたように、海外ではUX職種の大量レイオフが行われた
    国内でも、リサーチ組織の縮小・解体や、事業成果が見込めず投資が打ち切られる事例が出てきた
  2. デリバリー論点の減少

    ローコード・ノーコード、生成AI、業務SaaSなどの普及により、何かをつくる・施策を回すことへの障壁が下がってきている

    デリバリーではなくディスカバリーへと、論点がますますシフトしていっている

  3. 開発・企画プロセスの進化

    アジャイル開発に代表されるように、開発プロセスをよりミニマムに、より探索的にしていこうとする潮流が強まっている
    エンタープライズ企業でも、顧客理解やプロダクト開発を内製化する動きが広がっている

    これまで以上に、職種間をまたいだコラボレーションの必要性が高まっている

これまでのユーザー理解の問題点

  • 改めてインサイトマネジメントとは、「これまでのユーザー理解の問題点を解決する、事業インパクト指向の新しい顧客理解の戦略」である
  • これまでのユーザー理解の問題点は、「効率 × 効果」の4象限で捉えると分かりやすい
  • よくある落とし穴は、Cゾーン(低効率 × 小効果)止まりになること
  • 「小さく始めましょう」という大義名分でプロジェクトを開始するものの、学習結果を再利用できず、理解が“点”に留まってしまうケースが多い
  • 本来はAゾーン(高効率 × 大効果)を目指すべき
  • Aゾーンに行くには、「点の理解から脱却する」「チームでインサイトを扱う」という2点が重要

問題点1 : 繰り返されるスナップショット的なユーザー理解

  • プロジェクト毎に“点”のユーザー理解が繰り返される状態を、「スナップショット的なユーザー理解」と呼んでいる
  • これが続くと、「ユーザー理解の死のスパイラル」に陥る
  • ユーザー理解が点に留まるということは、得られる結論が小さくなる
  • 結論が小さいと、事業成果につながらない
  • 事業成果が出ないと投資理由が薄れ、組織からの信用も下がっていく
  • その結果、事業を左右しない細かな論点しか扱えない状態に陥り、組織存続も怪しくなる
  • 補足 : CからAへ向かうルートとして、右(B)から攻めて上(A)に行くルートは悪手
  • 効果が低いまま効率を上げようとすると、ユーザー理解の領域そのものが「再起不能」になりかねない(価値が出ない活動として認識され、立て直しが難しくなる)

問題点2 : チームでインサイトを扱うことの難しさ

  • Cゾーンから小さく始める場合に比べ、Aゾーン(事業全体を左右するインサイト)に取り組むほど、関係者の数が増える
  • 関係者が増えると、チームでインサイトを扱いづらく、顧客理解の難易度が跳ね上がる
  • 一方で、ただ単に顧客情報を議事録にまとめるだけでは不十分である
  • 根本的な問題は、データがあるだけでは「何が課題か」「根拠は何か」「本当か」といった、“データと実行の間”がブラックボックス化してしまう点にある

インサイト単位でデータを管理する新しい仕組み

  • これまでのデータ管理(人ベース/議事録ベース)では、Aゾーンには到達できない
  • だからこそ、「インサイトベースで管理する」ことが、インサイトマネジメントの根幹
  • より具体的に言い換えるなら、インサイトマネジメントとは「インサイト単位でデータを管理する新しい仕組み」である

インサイトマネジメントの影響は大きい

  • インサイトが事業に与える影響は非常に大きい
  • 使われない機能開発を行った場合、人件費だけでも約500万円の損失
  • 納得感のない説明が続くと、心理的安全性は30%低下する
  • 顧客インサイトを掴めず失敗する新規事業の割合は36.6% ( 新規事業が失敗する要因 / 成功する要因ランキングで、いずれも“顧客インサイト掴めたかどうか”が1位)
  • こうした事業への影響の大きさが、インサイトを適切にマネジメントする必要性を示している

ツールはぶっちゃけ何でもOK

  • インサイトマネジメントに取り組むために使うツールは、正直なところ何でもよい
  • ツール以上に重要なのは、インサイトが事業成長につながった「事例」をつくること
  • 蓄積の第一歩は、顧客課題と、その根拠となるファクト・エビデンスを書き出すことから
  • インサイトの真価は、「意思決定がどれだけ変わったか」にある
  • 「このインサイトがあったから、プロダクトはこう変えた/セールスはこう動いた/マーケは…/CSは…」と、意思決定への接続が広がるほど価値は大きくなる
  • その過程で、「組織内で理解されない」場合もあるが、浸透施策を先に打つのは悪手
  • インサイトマネジメントの立ち上げステップは、「立ち上げ」→「実績づくり」→「チーム浸透」→「全社浸透」
  • 立ち上げ後に最優先すべきは浸透施策ではなく、まず実績をつくることである

Q&A

Q1. インサイトマネジメントに取り組むべきタイミングは?

  • 「①不確実さが強い局面」「②チームコミュニケーションが急に複雑になる局面」の2つが取り組み時だと考えている
  • ① : 新規事業の立ち上げ / 外せない機能のリリース / ターゲット顧客の変更など
  • ② : チーム拡大や新メンバーの加入 / 責任者の変更 / 古参メンバーの異動など

Q2. これまでの顧客理解の仕方を変えていくには?

  • これまでの顧客理解は「リアクティブ」(re-active、受動的)
  • 先に何かの仮説があり、その帳尻合わせのために受動的なリサーチを行ってしまう状態
  • 本来は、顧客理解が土台となって仮説が生まれるはずである
  • リアクティブ (re-active) からプロアクティブ (pro-active) へ――受動的ではなく、先回りで攻めの顧客理解を行うことが、インサイトマネジメントのポイントの1つである
  • その第一歩は、「いつか使えそうだな」というインサイトを日々蓄積していくこと
  • 蓄積が進むと、「これ前もあの人が言ってた」「この人も同じ状況だった」といった形で、根拠が複数集まりはじめる
  • 「いつか使えるはず」を溜め続けた結果、気づけば肉厚なインサイトのリストができている状態が理想である

Q3. インサイトをチームにうまく共有するには?

  • うまく共有できない・分かってもらえないのは「なぜか?」を考えると良い
  • 主な理由は2つある : 「①根拠が分からない」「②だから何をすればいいかが見えない」
  • これを踏まえると、良い共有の要件は次の2つに整理できる
  • ①インサイトと根拠のつながりまで含めて、チームの共通認識となること
  • ②アクショナブルで、具体的なイメージが湧くインサイトであること

これを読んだあなたへのおすすめ

コピーしました
X

あなたのチームも、
インサイトマネジメントを
はじめませんか?

インサイトマネジメントは、ユーザー理解から事業を伸ばしたいあなたの味方です。
「顧客の声は聞いているのに成果が出ない」「チームの認識がズレる、スピードが遅い」
そんなお悩みから解放され、顧客に向き合うほど事業が伸びるしくみを実現しましょう。

他のイベントレポート