ユーザーリサーチに必要な2つの視点

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  • UXリサーチ

  • リサーチの考え方

VUCA時代と言われるほどに、ますます不確実さが高まる現代。

企業における、ユーザーの課題やニーズを捉えるリサーチ活動は、もはや必要不可欠になっています。

日本企業でも、さまざまな職種がユーザーヒアリングや、ユーザーインタビューを行うようになってきました。

一方で、リサーチ活動を行うものの十分な成果が得られない場面も多くあります。

1. ユーザーインタビューをしたのに施策に反映されない 2. リサーチをした当事者以外は議論に参加できない 3. ユーザーの意見通りに実装したが使われなかった 4. かけたコストにそのリサーチが見合っているか判断ができない 5. リサーチの文化がなかなか根付かない 6. リサーチに回される予算はほとんどなく裁量も少ない

そして十分な成果が得られないリサーチ活動は、企業としての投資対象にならず、肩身の狭い存在となってしまう場合もあります。

では、このようなリサーチ活動の失敗を避けるためには、どうすれば良いのでしょうか?

本ドキュメントでは、現場でリサーチを行う方々に向けて、成功するリサーチに必要な視点について解説します。

リサーチに必要な2つの視点

まずは、企業におけるリサーチの成功とは何かについて、はっきりとさせておきましょう。

企業がリサーチを行う目的は、大きく1つのみです。リサーチ活動が事業の成長につながるからに他なりません。事業が成長しないリサーチ活動は、ただの情報収集や知的好奇心を満たす活動にすぎません。

このような前提に立つと、成功するリサーチに必要な視点は以下の2つです。

  • 役立つ情報を得る : 対象者(生活者)への深い「共感」

  • 得た情報を役立てる : ユーザー行動から事業への「変換」

ここからは、「共感」と「変換」の2つについてそれぞれご紹介します。

1. 共感

ユーザーへの共感が重要なことは、これまでリサーチを行った方にとっては自明なことかもしれません。

一方で「なぜ共感が重要なのか?」と問われたら、いかがでしょうか?

「話しやすい雰囲気づくりをするため」「その方が誠実だから」などなど、さまざまな回答があるかもしれません。

成功するリサーチを考えると、共感が重要な理由は「事業に必要な情報を得られるから」と言えます。

対象者に深く共感をせずに、「たぶんこうだろう」と決めつけてしまうと、表面的な情報しか得られないでしょう。

そしてもちろん、インタビューを受ける人にとっても、次回また時間を取りたいと思ってもらえないはずです。

つまり、共感することは、対象者を(自分とは違う)1人の「生活者」と捉えて接することであり、高い解像度で対象者の行動や感情を捉えることと言えます。

コラム : 共感と同情は違う

「共感が大事」というと、「相手に寄り添う」「相手の気持ちになりきる」といったイメージを思い浮かべる方も多いことでしょう。

ここで注意すべきなのは、共感のふりをした同情をしてしまうことです(そして残念なことに、自覚がなく「自分は共感できている」と思う人ほど陥りがちです。)。

例えば、ユーザーインタビューの中で、ある出来事について話を聞いた時に「それは悲しいですね」など、相手の感情を追体験せずに自身の感情を表現することは、共感ではなく同情です。

ある出来事に対して、自分の中にある近い出来事を思い浮かべて「それは悲しいですね」と投げかける様子

ユーザーインタビューにおいて、同情は「分かった気になる」というデメリットしかなく、成果の出にくいリサーチの原因となってしまいます。

一方で共感とは、自分の経験や考えは一旦置いておいて、相手の考え方・捉え方で考えることです。

ある出来事に対して「どのように感じましたか?」と相手を追体験するような質問を投げかけている様子

共感と同情の最も大きな違いは、「相手をベースに考えるか、自分をベースに考えるか」です。 「相手は、自分とは違う人である」という前提に立つことが、共感のポイントとなります。

2. 変換

共感を重視することで、得られる情報の質が高いという意味での「良いリサーチ」は達成できるでしょう。

一方で、良いリサーチをしても、良い意思決定につながるわけではありません。

リサーチにおける大きな誤解 : 良いリサーチ = 良い意思決定

得た情報を、役立つ形にまとめあげ、適切な人に届けてこそ、リサーチは良い意思決定につながり、良い意思決定が事業の成果を生みます。

つまり、事業成長につながる意思決定を生むためには、良いリサーチに加えて良いデリバリーが必要不可欠です。

そして、良いデリバリーとは、その後のアクションにつながるように共有をすることです。

良いデリバリー = アクションにつながるリサーチの共有 = リサーチ情報を事業アクションに変換

これは単に分かりやすく共有することではなく、「このリサーチがあることで、事業がどう変わるか」を意思決定者やチーム内で明確にすることです。

  • このリサーチがなければ、どのような損失が発生するか?

  • このリサーチ次第で、どのような意思決定が可能になるか?

など、得られたリサーチ情報を事業の文脈に「変換」することで、リサーチは成功するリサーチへと変貌します。

合わせて読む : リサーチ情報のまとめ方・蓄積方法

さいごに : リサーチャーこそ、事業に強くあれ

ここまで、「共感」「変換」をキーワードに、成功するリサーチに必要な視点を解説しました。

成功するリサーチの2つの視点 : ①生活者への共感 ②事業への変換

どちらが欠けても、リサーチによる事業成長は実現できません。

すでにリサーチを行っている方も、リサーチをこれから行う方も、改めてこれらの視点を意識することで、社内でのリサーチの立ち位置は大きく変化するでしょう。

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Author

Kenji Kato

年間400名以上のユーザーインタビューを実践、5回の事業立ち上げ、顧客インサイトを活用し年間売上9倍の成長などを経て、現在はインサイトマネジメントシステム「Centou」のプロダクト責任者をしています。「あらゆる企業やチームがインサイト駆動で成長できる未来をつくる」をモットーに、さまざまな組織のインサイトマネジメントを支援しています。

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