ユーザーリサーチに必要な2つの視点
4min
UXリサーチ
リサーチの考え方

VUCA時代と言われるほどに、ますます不確実さが高まる現代。
企業における、ユーザーの課題やニーズを捉えるリサーチ活動は、もはや必要不可欠になっています。
日本企業でも、さまざまな職種がユーザーヒアリングや、ユーザーインタビューを行うようになってきました。

一方で、リサーチ活動を行うものの十分な成果が得られない場面も多くあります。

そして十分な成果が得られないリサーチ活動は、企業としての投資対象にならず、肩身の狭い存在となってしまう場合もあります。
では、このようなリサーチ活動の失敗を避けるためには、どうすれば良いのでしょうか?
本ドキュメントでは、現場でリサーチを行う方々に向けて、成功するリサーチに必要な視点について解説します。
まずは、企業におけるリサーチの成功とは何かについて、はっきりとさせておきましょう。
企業がリサーチを行う目的は、大きく1つのみです。リサーチ活動が事業の成長につながるからに他なりません。事業が成長しないリサーチ活動は、ただの情報収集や知的好奇心を満たす活動にすぎません。
このような前提に立つと、成功するリサーチに必要な視点は以下の2つです。

役立つ情報を得る : 対象者(生活者)への深い「共感」
得た情報を役立てる : ユーザー行動から事業への「変換」
ここからは、「共感」と「変換」の2つについてそれぞれご紹介します。
ユーザーへの共感が重要なことは、これまでリサーチを行った方にとっては自明なことかもしれません。
一方で「なぜ共感が重要なのか?」と問われたら、いかがでしょうか?

「話しやすい雰囲気づくりをするため」「その方が誠実だから」などなど、さまざまな回答があるかもしれません。
成功するリサーチを考えると、共感が重要な理由は「事業に必要な情報を得られるから」と言えます。

対象者に深く共感をせずに、「たぶんこうだろう」と決めつけてしまうと、表面的な情報しか得られないでしょう。

そしてもちろん、インタビューを受ける人にとっても、次回また時間を取りたいと思ってもらえないはずです。
つまり、共感することは、対象者を(自分とは違う)1人の「生活者」と捉えて接することであり、高い解像度で対象者の行動や感情を捉えることと言えます。

「共感が大事」というと、「相手に寄り添う」「相手の気持ちになりきる」といったイメージを思い浮かべる方も多いことでしょう。
ここで注意すべきなのは、共感のふりをした同情をしてしまうことです(そして残念なことに、自覚がなく「自分は共感できている」と思う人ほど陥りがちです。)。
例えば、ユーザーインタビューの中で、ある出来事について話を聞いた時に「それは悲しいですね」など、相手の感情を追体験せずに自身の感情を表現することは、共感ではなく同情です。

ユーザーインタビューにおいて、同情は「分かった気になる」というデメリットしかなく、成果の出にくいリサーチの原因となってしまいます。
一方で共感とは、自分の経験や考えは一旦置いておいて、相手の考え方・捉え方で考えることです。

共感と同情の最も大きな違いは、「相手をベースに考えるか、自分をベースに考えるか」です。 「相手は、自分とは違う人である」という前提に立つことが、共感のポイントとなります。
共感を重視することで、得られる情報の質が高いという意味での「良いリサーチ」は達成できるでしょう。
一方で、良いリサーチをしても、良い意思決定につながるわけではありません。

得た情報を、役立つ形にまとめあげ、適切な人に届けてこそ、リサーチは良い意思決定につながり、良い意思決定が事業の成果を生みます。
つまり、事業成長につながる意思決定を生むためには、良いリサーチに加えて良いデリバリーが必要不可欠です。

そして、良いデリバリーとは、その後のアクションにつながるように共有をすることです。

これは単に分かりやすく共有することではなく、「このリサーチがあることで、事業がどう変わるか」を意思決定者やチーム内で明確にすることです。
このリサーチがなければ、どのような損失が発生するか?
このリサーチ次第で、どのような意思決定が可能になるか?
など、得られたリサーチ情報を事業の文脈に「変換」することで、リサーチは成功するリサーチへと変貌します。
合わせて読む : リサーチ情報のまとめ方・蓄積方法
ここまで、「共感」と「変換」をキーワードに、成功するリサーチに必要な視点を解説しました。

どちらが欠けても、リサーチによる事業成長は実現できません。
すでにリサーチを行っている方も、リサーチをこれから行う方も、改めてこれらの視点を意識することで、社内でのリサーチの立ち位置は大きく変化するでしょう。

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Author

Kenji Kato
年間400名以上のユーザーインタビューを実践、5回の事業立ち上げ、顧客インサイトを活用し年間売上9倍の成長などを経て、現在はインサイトマネジメントシステム「Centou」のプロダクト責任者をしています。「あらゆる企業やチームがインサイト駆動で成長できる未来をつくる」をモットーに、さまざまな組織のインサイトマネジメントを支援しています。
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