新規事業を成功させるためのインサイト活用術
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- プロダクトマネジメント

スタートアップやベンチャー企業に限らず、大手企業でもますます活発になっている、新規事業の立ち上げ。
そんな新規事業立ち上げにおいて、最もよく言われることが「ユーザーの声を聞こう」「ユーザー課題を見つけよう」といった、ユーザーにまつわることです。

ある意味で、スタートアップを殺す誤りというのは1つしかない。
ユーザーが欲しがるものを何も作らないということだ。—— ポール・グレアム(Ycombinator)
これは、スタートアップだけでなくあらゆる新規事業において当てはまります。
一方で、この「ユーザーの課題」や「ユーザーの声」は、非常に主観的で属人的な部分も多く、実際のところ何をどこまでやったら良いのか分からない場面も多いでしょう。
本ドキュメントでは、新規事業を成功させるために、フェーズごとにどのようなインサイトを集め、意思決定に繋げると良いのかをまとめます。
以下のような方におすすめのドキュメントとなっております。
- 既存事業に加えて、新たな成長の柱をつくりたい事業責任者や経営者
- 過去に新規事業やプロダクトを立ち上げて失敗したが、同じ失敗は繰り返したくない起業家
- 新規プロダクトを任されたプロダクトオーナーや事業責任者
多くのフレームワークに惑わされないための原則
新規事業の立ち上げは、不確実なことや分からないことが多く出てきます。そのため、分かりやすいフレームワークや「型」のようなものに飛びつきたくなることも...。
しかし、よく分からないままフレームワークで武装しても、当然良い結果は得られません。フレームワークに振り回されないために、まずは「新規事業の構造」について押さえましょう。

「(新規)事業」を、最もシンプルに分解すると、大きく2つの登場人物に分けられます。
- これから新規事業をつくろうとしている自社
- 未来の顧客やターゲット(≒ 市場)
そして、自社は「価値」を提供し、ユーザーや顧客は「カネ」(もしくはそれに代わるもの*)を対価として支払います。
※ SNSなど、一部の事業はユーザーが直接お金を払うのではなく、ユーザーの投資時間などが広告等によって収益化されますが、ここではあえて単純化しています。
この「価値」と「カネ」のサイクルを最大化させることが、事業を成長させるということです。
新規事業成功までの5ステップ
「価値」と「カネ」のサイクルを細分化し、新規事業を成功させるためのステップに落とし込むと、大きく分けて以下の5つになります。

- アイデア・課題の検証
- ターゲットの検証(Customer / Problem Fit)
- 解決策の検証(Problem / Solution Fit)
- プロダクトの検証(Product / Market Fit)
- スケールの検証(Unit Economics)
そして、これらのどのフェーズにおいてもユーザーインサイトを活用することが重要です。

全てのステップで、有効にインサイトを活用することができれば、事業立ち上げのスピードも向上し、成功確度も飛躍的に高まります。
ここからは、各ステップにおいてどのようなインサイトを得ると良いのかについて解説します。
1. アイデア・課題の検証
このステップでは、事業のアイデア(ヒント)や、解決すべき課題を見つけることがゴールです。
- 誰の
- どんな課題を
- どう解決するか(ざっくりとでもOK)
この3つを、明らかにすることで次のステップ(ターゲットの検証)に進みます。
良い課題を見つけ、解決策のヒントを得るこの段階では、2つのインサイトを得ることが重要です。

- “質の高い”課題についてのインサイト
- 解決のための“代替手段”についてのインサイト
課題の質を高めるには、以下のポイントを意識しながら、とにかく具体度を高めることが重要です。

また、課題の質が上がれば上がるほど、以下のような特徴が出てきます。
- 一部の人は、何かしら解決のために工夫をしている
- お金を払って解決している
この際の「どんな代替手段を使って解決しようとしているか?」についてのインサイトは、今後の解決策やプロダクトを考えるための大きなヒントになります。
2. ターゲットの検証
質の高い課題(ペインやバーニングニーズと呼ばれることも)が見つかったら、次は「どのようなセグメントが課題を感じているか」というターゲットの検証を開始します。

この段階では、課題の発生条件や課題を抱えるユーザーについてのインサイトを集めていきます。
最終的に2つの成果物にまとめることを念頭に置くことで、効率的にインサイトを集めることができます。
- ユーザーの「モデル」(ペルソナ)の作成
- ユーザーの「フロー」(ジャーニーマップ)の可視化
ユーザーモデルは、「課題を抱えている人は、どんな人か?」について詳らかにするものです。

いわゆる「ペルソナ」と同じですが、ここで重要なことは、架空のペルソナや想像のアウトプットを避けることです。あくまで事実・インサイトに基づいた「モデル」(模型・典型例)を作成しましょう。
そして、2つ目に課題の発生フローやその際のユーザーの行動などを、時系列でまとめたフロー図(ユーザージャーニーマップ)の可視化です。

ユーザーフローも、ユーザーモデルと同じく実際のインサイトに基づいて作成します。この段階での解像度の高さが、次のステップでの解決策の質を決める要因になります。
3. 解決策の検証
いよいよユーザーの課題やターゲット像が明らかになってきました。ここまででしっかりとインサイトを収集していれば、何も見ることなくユーザーの課題をスラスラと言える状態になっているでしょう。
このステップでは、解決策(ソリューション)を検証し、プロダクト開発やその後のスケール検証のための準備をします。

得るべきインサイトは、以下の2つです。
- 解決策に求められる要素についてのインサイト
- WTP(Willingness To Pay : 支払意思額、ユーザーが喜んで払う金額)についてのインサイト
最小工数でプロトタイプやスライドをつくりながら、ユーザーに「課題が解決される可能性が感じられるか?」をテストしましょう。
テストする中で、足し算や引き算を繰り返し、要素ごとに優先順位をつけていくことで、プロダクトの検証がさらにしやすくなります。

そして、解決策とセットで「どれだけお金を払って使いたいか?」といったWTPについてのインサイトも集めることで、セールスやマーケティングの戦略設計に役立ちます。
4. プロダクトの検証
ここまでで、解決策が明らかになり、顧客がお金を払ってまで使いたいサービスであることが検証できました。BtoBサービスなら、この時点で売上が上がっているかもしれません。BtoCサービスなら、すでにファンになっているユーザーが何人かいる場合もあります。

プロダクトに落とし込むこのステップでは、2つのインサイトを得ることにフォーカスします。
- プロダクト上の行動(利用体験・ユーザビリティ)についてのインサイト
- 利用動機やきっかけについてのインサイト
前者はユーザビリティテストや、クローズドベータ版の公開などでテストを行います。後者は、利用してくれたユーザーへのインタビューや、簡単なLPや広告などでテストします。

このステップでは、プロダクトの利用中体験の検証はもちろん、「どのようなきっかけで使い始めているか」についてのインサイトも蓄積することで、最終ステップの検証が行いやすくなります。
5. スケールの検証
プロダクトの検証を終えたあなたの新規事業は、しっかりとユーザーの課題を捉えたプロダクトに仕上がってきました。
ここから価値とカネのサイクルを最大化させるための最後のステップとして、スケールの検証を行います。

この段階では、これまで行ってきたプロダクトの検証から、一気に「事業全体の検証」へと検証範囲が広がります。
そのため、得るべきインサイトも大きく広がります。
- 継続利用についてのインサイト(なぜ継続的に使い続けてもらえるか)
- 価格・料金体系についてのインサイト
- 訴求やチャネルについてのインサイト
プロダクトの検証段階では、主に利用や継続についてのみだったものから、全体の最適化へと目線が変わります。

スケールの検証が終われば、組織を拡大し、より価値とカネのサイクルを回せる状態を目指します。
このステップが完了すれば、あなたの新規事業はユーザーに強く求められ、改善の道筋もクリアに見えていることでしょう。
まとめ : インサイトを制する者が新規事業を制する
ここまで、新規事業立ち上げにおいてどのようなユーザーインサイトを得るべきかについて、ステップごとに紹介しました。
新規事業の成功のためには、各ステップで良いインサイトを得ることが必要不可欠です。不確実性の高い新規事業の中で、インサイトを制する者が新規事業を制するといっても過言ではありません。

あなたがユーザーの欲しがるものを何か作るなら、
他に何をやろうがやるまいが、あなたはたぶんうまくいく—— ポール・グレアム(伝説の起業家・投資家)
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