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事業成長に必要なユーザー解像度とは

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事業成長に必要なユーザー解像度とは

さまざまな場面で「ユーザー理解をしよう」と叫ばれる昨今。プロダクト開発、マーケティング、あらゆる分野で、より深いユーザー理解が必要とされています。

一方で、「深いユーザー理解」とは、一体何なのか?どんな状態なのか?については、あまり触れられません。場合によっては、「理解したぞ!」と意気揚々と企画をまとめるものの、「解像度が低い!」と一蹴された方もいるかもしれません。

本ドキュメントでは、事業成長に必要なユーザー解像度を、5つに分類して詳しく解説します。チームで、組織全体での解像度アップに向けて、ぜひご活用ください。

ユーザー解像度の5つのレベル

継続的な事業成長や、強く求められる新規事業を生み出すためには、5つの段階でユーザー解像度を高めることが必要です。

「事業成長のためのユーザー解像度レベル」というタイトルで、階段形式の表が描かれている。
  • Lv.0 ... 未知(該当サービスやプロダクトのユーザーについて、何も知らない状態)
  • Lv.1 ... 部分的理解(一部のユーザーや顧客について、ざっくりと理解している状態)
  • Lv.2 ... パターン理解(ユーザーや顧客のざっくりとしたパターンを理解している状態)
  • Lv.3 ... 詳細理解(特定のセグメントや特定のシーンについて、ユーザーがどんな行動を取っているか、背景や動機、詳細を説明できる状態)
  • Lv.4 ... 構造的理解(全体的なセグメントの理解や、共通する課題の理解ができており、将来的に発生する課題の想定がついている状態)

全レベルに共通する、ユーザー解像度が低い時

以下のような状態に陥っている際は、ユーザー解像度が低い状態と言えます。

「これらは顧客が求めている根拠として弱い」というタイトルの下に、3つの要素が記載されている。①競合がやっているから...②最新の技術だから...③Aさんが欲しいと言ってたから...
  • 「競合がやっているから」で機能開発が進んでしまう(B向けサービスで起こりやすい)
  • 最新技術や、流行りに乗ったアイデアのままリリースする(企画職やPMで起こりやすい)
  • 「XX機能がほしい」と、要望を鵜呑みにしてしまう(業界理解の難しい領域で起こりやすい)
  • 「多分こうだろう」「自分ならこうする」と、雰囲気や妄想のまま施策を進める(C向けサービスで起こりやすい)

このような状態のチームや組織は、無駄な機能開発や施策も増え、時間とお金を必要以上に費やしてしまいます。実際にIBMの調査では、リリース後の修正コストは、企画段階の修正コストの100倍かかると言われています。

このような症状を防ぐために、ここからは各レベルごとの詳細や、次のレベルへ進むためのアクション例を解説します。ご自身や、チームの状況に合わせて「今、私は/チームはどこだろう?」と考えていただきながら、お好きな章から読み進めてください。

Lv.0:未知

このレベルでは、自身の関わるサービスの利用ユーザーや顧客について、何も知らない状態です。入社直後や、別業界へ転職する際、新規事業の立ち上げタイミングでは、多くの人がこの状態なのではないでしょうか。

知らないことを恥じる必要はありません、誰しも一度は通る道と捉えて着実にステップアップしましょう。

この状態でよく起こること

このレベルをひと言で表すと...「ナニモワカラナイ」。❌ 関わるプロダクトや事業の ユーザーについて何も知らない ❌ 想像でユーザーや顧客について話す ❌ サンプルが少なく、 「自分なら...」と自分の話をする
  • 関わるプロダクトや事業のユーザーについて何も知らない
  • 想像でユーザーや顧客について話す
  • サンプルが少なく、「自分なら...」と自分の話をしてしまう

次のレベルに進むためのアクション例

次のレベルに進むためには、N1のサンプルを増やすことが重要です。まずは特定のユーザーや顧客の話を聞いてみましょう。

  1. 特定のユーザーや顧客へ、インタビューやヒアリングを実施する(難しい場合は、録画を見たり、社内で顧客接点の多い人とのミーティングを設置)
  2. インタビューなどで聞いたことをまとめ、サービスを利用する動機、利用前後の行動などを、自分なりに言語化

Lv.1:部分的理解

このレベルでは、ふんわりとユーザーや顧客の理解をしているものの、いくつか質問をされたら答えに窮する状態です。

エンジニアやデザイナーをはじめとした専門職など、顧客接点の比較的少ない職種は、この状況になりやすいかもしれません。

この状態でよく起こること

雰囲気は分かる!✅ 顧客の行動や要望など、表面的には 理解している ❌ なぜ?や具体状況が説明できない ❌ ふわっとした説明しかできない = 雰囲気のみの理解 ❌要望を鵜呑みにしてしまう = 御用聞き
  • Slackなどに流れてくる顧客要望はなんとなく理解しているが、なぜその要望が上がっているのか、どんなシチュエーションで発生しているのかなどは説明できない
  • 特定のシーン(業務や行動)について、ふわっとしか説明ができない or 冗長な説明をしてしまう
  • 具体例を説明できない(浅い理解)
  • 要望をそのまま実装してしまう
  • 社内の特定のメンバーに聞いて、理解したつもりになる(部分的な理解に終始)

次のレベルに進むためのアクション例

Lv.1からLv.2に進むためには、全体感を掴むことを心がけましょう。あなたが見聞きしたユーザーは、ユーザーや顧客の中のどこに位置付けられるのかを整理することが重要です。

  1. 異なる属性のユーザーや顧客について、インタビューなどを通して理解を深める
  2. 自社サービスのユーザーを、いくつかの軸(例:利用頻度、利用動機、属性)で分類する
  3. チームで、売上や戦略に対して有意義な分類について認識を揃える

Lv.2:パターン理解

このレベルをひと言で表すなら、「全体は分かる!(けど浅め)」です。ざっくり顧客の分類や、利用動機のパターンなどを説明できるものの、課題の構造など、インタビューのサマリー以上の説明はできない状況です。

その業界での経験が長くなったり、いくつかのインタビューを経ることで辿り着くこの段階は、実は最も注意が必要な段階であり、「それらしいことが言えてしまう」(周りも納得してしまう)のが、このレベルです。

この状態でよく起こること

全体は分かる!(浅め) ✅ 利用動機や属性など、複数の軸で ユーザーの分類を説明できる ❌ ローデータのみ蓄積 ❌ サマリー以上の解像度はなく 課題の背景や5W1Hに弱い=表層的 ❌ 「多分こうだろう」「自分だったら」 と想像で補足 = 具体例が少ない
  • ユーザーセグメントの分類や、収益と顧客の関係性を大きく理解できている
  • 過去のインタビューなどは蓄積されているものの、取り出しづらく、施策のたびに2, 3つのデータを見て、ざっくりと判断する
  • 「なぜその課題が起こっているのか?」「ユーザーにとって、他の手段はどんなものがあるか?」など、詳細はあいまいにしか説明できない
  • 要望の増加や、インタビュー頻度の上昇などで、情報量が増えたことで理解しているつもりになる(全体像や細部、構造への理解がない)
  • 結果として、浅い理解や対処療法的になり「それらしい機能案」「それらしい施策」が増える

次のレベルに進むためのアクション例

高い成長率を維持し、競合を突き放すためには、「雰囲気理解」を卒業することが必要です(あなたが雰囲気で理解していることは、競合も理解している可能性が高い)。

「細かく理解する」ことを重視することで、飛躍的にユーザー解像度を高めることができます。

  1. ユーザーインタビューや顧客接点の分析を行いインサイト抽出をする(インタビュー単位でふわっと見ることから、インサイト単位で厳密に捉えるように)
  2. インサイトを集めて、改めて購買フローやターゲット像を可視化する(妄想のペルソナではなく、ファクトベース/インサイトベースであることが重要)

Lv.3:詳細理解

このレベルに来たあなたは、ユーザー理解において一定の信頼を得られるでしょう。あるユーザー行動をピックアップした時に「なぜ」「どんな場面で」「何をしたくて」など、(ユーザー以上に)詳しく説明ができる状態だからです。

Lv.2とLv.3の大きな違いとして、「圧倒的な具体度」が挙げられます。Lv.2では、いくつかのインタビューなどをベースに、あくまでサマリー程度に理解していた状況から、Lv.3では特定の行動やインサイトベースで理解できるようになります。

この状態でよく起こること

部分的ユーザーヲタク ✅ 分析によって、正確で深い理解 ✅ 特定のシーンやユーザー行動での 5W1Hは、正確に説明できる ❌ 突発的な施策や、不定期な調査で 全体像を見失う ❌共通する根本課題や、今後起きうる 課題の想定はついていない
  • 特定のユースケースや、ユーザー行動について、5W1Hを用いてこと細かに説明ができる
  • インタビューなどの「人単位」ではなく、行動など「ファクト/インサイト単位」での説明ができる
  • 一方で、継続的にインサイト管理をできる体制はまだなく、調査プロジェクトごとの理解に終始する
  • 結果として、事業レイヤーや戦略レイヤーに対しての提言や、意思決定のリードはできない

次のレベルに進むためのアクション例

特定部分に対して高度な理解ができているあなたは、社内でも稀有な存在のはず。その解像度の高さを、事業成果に繋げられるように、以下のアクションをお勧めします。

  1. 特定施策で結果を生む : 
  2. 施策から戦略へのコミット : 高い解像度を持っていたとしても、成果が出る場所で発揮しなければ宝の持ち腐れ。特定施策だけでなく、事業戦略やプロダクト戦略などで、インサイトを使えるようにしましょう。勝てるゲームづくりにこだわることが重要です。

Lv.4:構造的理解

いよいよ最後のレベルです。Lv.4は「ユーザー解像度の伝道者」と言えるほど、ユーザー以上にユーザーを理解し、ユーザー課題と事業成長を高度に結びつけることができます。

小さな点を改善することで、大きなインパクトを生めるようなこのレベルでは、さまざまなポジティブなことが起こります。

この状態でよく起こること

ユーザー解像度の伝道者 ✅ 全体の課題のボリュームや 共通項、構造が説明できる ✅ 継続的なインサイトマネジメントで 常に深い理解が得られる状態 ✅ 将来的に発生しうるユーザー課題の 想定がついている
  • さまざまなセグメントにおける、ユーザーが抱えている課題の構造(外部要因や詳細なフロー、ユーザーが抱えるトレードオフなど)を説明できる
  • セグメントごとの課題のボリュームが把握できており、優先度が明確になっている
  • 戦略レベルの不確実な仮説に対して、継続的にインサイトを集められている
  • 将来的に発生しうるユーザー課題について、先手を打てている

次のレベルに進むためのアクション例

このレベルであれば、自ずと各施策の結果も出てきており、戦略レベルにも入り込めている状況です。事業の進化に合わせて、自身やチームを進化させていくことをゴールに動くと良いでしょう。

  1. P/L責任を持つ : 高い解像度を通じて、事業KPIを伸ばし、売上増加に責任を持てるようにする。価値 (カチ) と売上 (カネ) のサイクルを回せることで、組織全体をリードしましょう。
  2. チームや組織全体の基準値向上 : 高い解像度を持つ人を増やすほど、事業も組織もユニークな存在になることができます。

ユーザー解像度を高めるために、明日からできること

事業をより強く、より大きくするためのユーザー解像度の5つのレベルについてご紹介しました。

レベルを上げるほどに、意思決定のスピードや施策の成功確率は上昇し、事業の成功確率は飛躍的に高まります。このことは、さまざまな数値によって示されています。

  • 優れたユーザー理解は、開発時間を50%短縮する(MITX)
  • 顧客体験に戦略レベルで取り組む企業は、その他の企業に比べて2倍以上の成長率を実現している(マッキンゼー)
  • UXデザインに投資することで、企業のROI(投資利益率)は最大235%向上する(Forrester Research)
  • プロダクト開発のプロセスにおいて、企画段階など初期のデザインプロセスで修正することで、開発後期で修正するよりも、コストは1/100になる可能性がある(IBM)
  • 顧客の89%は、(プロダクトを含む)顧客体験の悪さを理由に競合他社に移行する可能性がある(Oracle)

そして、ユーザー解像度を高めるためには、以下の点を意識することが重要です。

まとめ:ユーザー解像度を高めるポイント ①具体的 : 細かく説明できる②網羅的 : 全体像を説明できる③構造的 : “なぜその行動か”が説明できる

具体的で、網羅的、構造的なユーザー理解は、インタビューの議事録をぼんやり眺めていても、あるいは綺麗な架空のペルソナをつくったとしても、決して得られません。より細かく、より深くユーザー行動やインサイトに向き合うことによって、初めて得られるものだからです。

小さく始め、スムーズにレベルを高めるためには、3つのアクションに取り組むと良いでしょう。

  1. サンプルを増やす : 具体的に説明できるユーザー行動の引き出しを増やす
  2. ファクトやインサイト単位で捉える : 議事録単位、人ベースで捉えるのではなく、より詳細なファクトやインサイトを捉え、共通項や構造を把握する
  3. インサイトと仮説を何度も行き来する : インサイトがあるから仮説はより確からしくなり、仮説があるからより深いインサイトが得られます。そのサイクルを何度も回しましょう。

ユーザー解像度という点から事業成長を実現できるように、5つのレベルをぜひ社内で計測・実践してみてください。

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Author

Kenji Kato

Kenji Kato

年間400名以上のユーザーインタビューを実践、5回の事業立ち上げ、顧客インサイトを活用し年間売上9倍の成長などを経て、現在はインサイトマネジメントシステム「Centou」のプロダクト責任者をしています。「あらゆる企業やチームがインサイト駆動で成長できる未来をつくる」をモットーに、さまざまな組織のインサイトマネジメントを支援しています。

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