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ユーザーインタビューで聞くべきことと聞くべきでないこと

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ユーザーインタビューで聞くべきことと聞くべきでないこと

プロダクト開発やマーケティング、新規事業の立ち上げなど、あらゆる場面でターゲットを深く理解することは、非常に重要です。

解像度の高いユーザー理解を行うために、ユーザーインタビューはもはや一般的なアプローチになりつつあります。

マッキンゼーの調査によると、上場している日本企業の6割がユーザーインタビューを実施しているという結果もあります。

一方で、「本当に成果につながるインタビューができているか?」と問われた時、どれだけのチームが自信を持ってYesと答えられるでしょうか?

本ドキュメントでは、ユーザーインタビューの成果を最大化するために、インタビューで聞くべきことと聞くべきでないことを整理します。

ユーザーインタビューへの大きな誤解

「何を聞くべきか?」を考える前に、ユーザーインタビューがどういうものなのか、その立ち位置を明らかにするべきでしょう。

よくある誤解として、「インタビューをすると、ユーザーが答えを教えてくれる」という思い込みがあります。

この誤解は、たとえるなら病院を訪れた患者に病名を聞くようなものです。

ユーザー(生活者)は、問題(症状や違和感)を説明することはできるかもしれませんが、答え(病名や治療法)を知っていることは稀でしょう。

次に、「ユーザーが言っていることは、全部正しい!」と考えることも大きな誤解です。

ユーザーインタビューは、人と人どうしのやりとりでもあるため、全ての発言が質問に答えるために発せられている訳ではないためです。

あなたは、たとえば飲み会の場や学校などで、他の人が話題にしていることに対して、別にそこまで好きなわけじゃないものの、なんとなく会話の流れに合わせて「良いよね〜あれ〜」などと言った経験はありませんか?

特に初対面どうしのユーザーインタビューなどでは、「会話の"間"を埋めるための発言」「(相手の期待に応えるために)質問に対してうまく答えようとして出てきた、本心とは少しズレる発言」なども非常に多くあります。

ユーザーインタビューでは「事実」を聞こう

改めて、よくある「ユーザー = 答え」の誤解や、「発言 = 正しい」の誤解を踏まえ、ユーザーインタビューとは何をすることなのでしょうか?

成果が出るユーザーインタビューにおいて、最も重要な考え方は、「ユーザーインタビュー = "事実"を聞く仕事」だと考えることです。

事実を得た上で、解釈をするのはあくまであなたであり、解決をするのはあくまであなたです。

インタビューに向かうあなたは、親身になってくれる医者のような存在とも言えます。さまざまな角度から今の症状(現状や問題)を聞きながら、適切に処方箋(解決策となるプロダクトや施策)をお渡しするのが役割です。

そして、インタビューで聞くべき事実には4種類あります。4種類の事実をもとに、インタビューの質問項目やスクリプトを考えることで、過不足ないユーザーインタビューになるでしょう。

インタビューで聞くべき4つの事実(SPAI)

ユーザーインタビューを、その後の施策や仮説検証につなげるためには、以下のような4つの事実を集めることが重要です。

事実の種類

説明

現状 (Situation)

あなたが解決しようとしているテーマや領域で、ユーザー(生活者・顧客)は、どんな行動をしていますか?どんな流れで業務を行っていますか?周りの環境はどうなっていますか?

問題 (Problem)

対象者の方が、特定の行動につまずいていたり、悩んでいる場合、何につまずいていますか?実際にどのぐらいの時間やお金などの損失が出ていますか?その方にとって、この問題が起こることで、何かさらにまずいことが起こりますか?

代替 (Alternative)

対象者の方は、問題を解決するために、どんなことを試していますか?何も試していないとしたら、何がハードルになっていますか?

理想像 (Ideal)

仮にその問題が解決されたとしたら、対象者の方やその周りには、どのような良いことが起こりますか?その「良いこと」は、対象者の方にとって、喉から手が出るほど欲しいものですか?(※ 「なんとなく痩せたい」など、本心で思っていないことに注意)

頭文字をとって「SPAI」(スパイ)フレームワークと覚えても良いでしょう。

事実 (S) に関しては、多くの方がスムーズに事実を聞くことができるでしょう。問題 (P) 、代替案 (A) 、理想像 (I) と進むにつれ、聞き方や話しやすい関係性かどうかが、非常に重要になります。

また、特に理想像 (I) は、企業目線で勝手に「こうだろう」と思い込みやすいものです。「効率化されたら嬉しいだろう」など、つくり手目線で「〇〇できたら嬉しいだろう」とたかを括らないようにしましょう。

具体的な質問例

4つの事実を押さえることが重要であることは分かりました。では、具体的にどのような質問をすることで、的確に事実や本音を引き出すことができるのでしょうか?

以下に示すのは、あくまで例になります。インタビュー対象者との関係性や、自身のサービスへの期待値を踏まえて、アレンジを行なってください。

事実の種類

質問例

現状 (Situation)

・〇〇 (聞きたい領域 / テーマ) について、普段はどのような流れで行動していますか?
・XXX (聞きたいテーマ / 行動) は、どのようなタイミングで行っていますか?
・△△ (特定の行動など) を行うとき、どのような人が関わっていますか?

問題 (Problem)

・XXX (聞きたいテーマ / 行動) について、つまずくポイントや負担だと感じるポイントはどこですか?
・◻︎◻︎◻︎ (つまずきポイント) について、実際にどのぐらいの時間がかかっているのですか?
・◻︎◻︎◻︎ (つまずきポイント) は、実際に月に何度ぐらい起こるものですか?
・◻︎◻︎◻︎ (つまずきポイント) が起こることによって、あなた自身には、どんな不幸なことが起こるのでしょうか?

代替 (Alternative)

・◻︎◻︎◻︎ (つまずきポイント) を解決するために、今まで試してきたことはどんなことでしょうか?
・△△△ (試してきたこと) を行うために、実際にどのぐらいのお金や時間を使われてきたのでしょうか?
・△△△ (試してきたこと) を実践してみて、当初想定していた問題は、イメージで何%ぐらい解決されたと感じますか?

理想像 (Ideal)

・たとえば、◻︎◻︎◻︎ (つまずきポイント) が、完全に解決されたことを想像すると、どんなことが実現できそうだと思いますか?
・たとえば、◻︎◻︎◻︎ (つまずきポイント) がなくなったとしたら、その時間やかかっていたお金をどこに使いたいと思いますか?
・今まで試してきた △△△ (試してきたこと) が、あなたにとってベストな解決策になるように進化するとしたら、どんな状態になっていそうですか?

質問を用意・実施する上で重要なことは、「とにかく具体的に聞くこと」です。対象者の方が普段使うような固有名詞なども使いながら、なるべく具体的で正確に言葉にしてもらえるような質問を心がけましょう。

そして、対象者の方はロボットではないので、良い質問をすれば、良い回答が得られるわけではありません。答えやすい雰囲気づくりや、「この人にならなんでも話したいな」と思ってもらえる関係性づくりも、(事実を聞くこと以前に)忘れないようにしましょう。

SPAIフレームワークで、多くの"出口"につなげよう

良いユーザーインタビューを行うことによって、仮説の検証以上に多くのものを得ることができます。

4つの事実(SPAI)を得ることで、プロダクトやマーケティング、新規事業などにどのように活かせるのでしょう?

ユーザーインタビューで聞くべきことと、聞いたことがどうなるか(= インタビューの出口)の2つは、必ずセットで理解する必要があります。

出口とセットで理解しないまま、巷にあふれる「インタビューのヒント!」「質問項目はこれを聞け!」などの、さまざまな情報に流されてしまうと、インタビュー自体が目的になりかねません。

事実の種類

出口の例 (対象職種の例)

現状 (Situation)

・仮説立案のためのインプット (全職種)
・顧客属性の把握やセグメントの切り口 (マーケ / 事業企画)
・メンタルモデル理解 (PM / デザイン)

問題 (Problem)

・プロダクトの課題発見 (PM / デザイン)
・広告などの訴求軸の開発 (マーケ / 企画)
・提案資料 (セールス)
・プロダクト計画 (PM / 経営)
・事業計画 (経営)
・新規プロダクトの仮説づくり (新規事業 / 経営)
・解約理由の発見 (CS)

代替案 (Alternative)

・機能仮説 (PM / デザイン)
・機能要件や品質 (デザイン / 開発)
・提案資料 (セールス)
・好まれるトーンやクリエイティブ (マーケ / デザイン)

理想像 (Ideal)

・アウトカムの定義 (PM / デザイン)
・広告などの訴求軸の開発 (マーケ / 企画)
・プロダクト計画 (PM / 経営)
・事業計画 (経営)

1つのインタビューを、1つの出口に留めていては、仮説があるたびにインタビューを繰り返す必要があり、価値提供へのスピードも落ちてしまいます。

SPAIを聞くインタビューを行うことで、ユーザーインタビューとその出口の関係性は、「1:1」から、「1:N」へと進化します。

現在の仮説や問いに対しても、あるいは別のチームの問いに対しても、「使える!」と感じる有効なユーザーインタビューが増やしましょう。

付録 : よくある疑問と逆説

ここまで、ユーザーインタビューにおいて何を聞くべきか?について整理しました。
このセクションでは、関連してユーザーインタビューにまつわるよく出る疑問について、一般的な回答と逆説をまとめます。

より詳しい相談は、Centouのインサイトマネジメントコンサルタントまでいつでもご連絡ください。

※ 参考 : ユーザーインタビューなどについての相談会フォーム

Q1. 何人に聞けば十分か?

A. この問い自体を見直すべき。

一般的には、5 ~ 10人、場合によっては20人聞けば十分といった見解もあります。

※ 5人聞けば十分という言説は、使用感を確かめるユーザビリティテストについてであり、課題などを確かめるユーザーインタビューとは違うものであることに注意

一方で、「○人に聞けばOK」と絶対的な正解はなく、この問い自体について見直す必要があります。

この問いについての背景に、「説得力を持たせたい」があるのなら、人数ではなく伝え方を見直すべきでしょう。「課題や仮説の妥当性を高めたい」のであれば、数人へのインタビューののちリリースする方が検証しやすい場合や、アンケート等の規模を調査する方法もあるでしょう。

いずれにせよ「何人に聞けば良いのか?」という問い自体が、暗黙のうちにユーザーインタビューだけで仮説を解き明かそうとしてしまっており、筋が良い問いとは言えないでしょう。

Q2. 対象者をどうやって決めるべきか?

A. 事業課題に一番近い属性からインタビューを行う。

対象者を選ぶ際に、ステークホルダーが多かったり、ターゲットセグメントが多いことで迷うことは、非常によくあるケースです。

その際に、「分かっていない領域 / ステークホルダーから聞こう」と考えてしまうと、結果として「そのインタビューで、何か変わりましたか?」と、疑問が出てくるでしょう。

ステークホルダーや属性など、どんなユーザー(顧客・生活者)にインタビューするべきかどうかは「事業課題に一番近いターゲットか?」で判断することで、最も効果的な対象者の選定ができるでしょう。

Q3. 本音を引き出せてないと感じるが、どうすれば?

A. 関係づくりは重要だが限界がある、何度も聞ける関係性をつくろう。

一般的には、ユーザーインタビューでは「ラポール」と言われ信頼関係の構築が重要だと言われています。

もちろんラポール構築は、非常に重要であり、疑う余地はありません。

一方で、「初めて合った人に、本音で話すか?」と冷静に考えることは、より重要です。1人に対して1度のみのインタビューで聞ける深さには限界があります。

その場のラポール以上に、「この人になら、何度も話を聞いてほしい!」と思われる関係性づくりに取り組みましょう。

まとめ : インタビューは継続してこそ輝く

ここまで、良いユーザーインタビューとは4種類の事実を聞くことであると解説しました。

一方で、1回のユーザーインタビューを行うだけでは、事業の解像度は上がっていきません。

ユーザーインタビューは、まるで360度が真っ暗な暗闇の中を、1つ1つ明かりを灯していくように、ユーザー解像度を上げていく営みです。

1つのユーザーインタビューだけでは「点」にしかなりません。10回、100回、1000回と組織で積み重ねていくことで、点が増え、共通点が見つかり、面になっていきます。

こうして「面のユーザー理解」ができると、より俯瞰的で、深いユーザー理解が可能になります。

Centouでは、インタビューで得られた事実を適切に管理するソリューションを提供しています。インタビューの伴走支援も提供しており、ユーザー理解を起点に、飛躍的な事業成長を実現したい方の強力なパートナーとなります。

ご興味のある方は、こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

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Author

Kenji Kato

Kenji Kato

年間400名以上のユーザーインタビューを実践、5回の事業立ち上げ、顧客インサイトを活用し年間売上9倍の成長などを経て、現在はインサイトマネジメントシステム「Centou」のプロダクト責任者をしています。「あらゆる企業やチームがインサイト駆動で成長できる未来をつくる」をモットーに、さまざまな組織のインサイトマネジメントを支援しています。

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