高速事業立ち上げの秘訣は、「現場の痛み」を共有する仕組みにアリ —— カミナシにおけるインサイトマネジメントの裏側

「〇〇工場のAさんは、こんな課題を抱えていて」 —— こんな言葉が、エンジニアやデザイナーからも出てくる。日夜、お客さまの名前がバイネームでやりとりされるこの会社は、急成長中のスタートアップ『カミナシ』
BtoB SaaSを展開する急成長スタートアップのカミナシでは、現在、複数の新規事業が勢いよく立ちあがろうとしている。
高速で立ちあがっている新規事業には、「現場ドリブン」のカルチャーと、それを支える徹底的なインサイトマネジメントの仕組みがあった。
プロフィール
株式会社カミナシ
「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」をミッションに、全国3900万人のノンデスクワーカー向けのDXソリューションを提供する、急成長スタートアップ
Ryo Migita(migi)
プロダクトマネージャー
Ami Sato(satoami)
プロダクトデザイナー
目次
1つ目のプロダクトが急成長、マルチプロダクトのフェーズへ
—— 本日は、お時間いただきありがとうございます。まずはお二人について教えてください。

migiさん
migiさん:NTTドコモ やatama plusを経て、今年カミナシにジョインしました。Webディレクターからキャリアをスタートし、データアナリストやデータ分析基盤開発、UXデザイナーを経て、カミナシではプロダクトマネージャーを担当しています。

satoamiさん
satoamiさん:私は、これまで事業会社のデザイナーとしてキャリアを歩んできました。C向けサービスに携わっている時期が長かったのですが、「自分が理解できない領域でのデザインができたら一人前だ」と感じて、カミナシに転職しました。現在はプロダクトデザイナーとして、migiさんと一緒に新規事業の立ち上げを担当しています。
—— お時間いただきありがとうございます。カミナシでは新規事業に注力していると聞いています。これにはどのような背景があるのでしょうか?

migiさん:2020年にサービスローンチしたカミナシは、製造業をはじめとした現場のDXを推進する「カミナシ レポート」を皮切りに15,000を超える現場に導入されるサービスまで成長してきました。

主要プロダクトである「カミナシ レポート」は、製造・飲食・小売・物流など、さまざまな「現場」で利用されるサービスに。
migiさん:BtoB SaaSとして、かなりのスピード感で成長している一方、私たちが解決しようとしている課題は、さらに大きなものです。
日常で使われるものが作られている「現場」でのさまざまな課題を解決するために、主要プロダクトの「カミナシ レポート」以外にも、複数の事業を立ち上げようとしている状況なんです。
satoamiさん:migiさんと私は、その中の1つの事業立ち上げを担当しており、昨日もちょうどお客さまの現場にヒアリングに行ってきました。
人が増えたのに成果とスピードが十分に出ない…その原因とは?
—— 順調に立ち上がっているように見える新規事業を立ち上げにおいて、お二人はどのような問題に直面したのでしょうか?

satoamiさん:立ち上げ当初は、3 ~ 4人で、課題の検証や、マーケットサイズの見積もりを進めていました。この頃は、全員がお客さまの現場に見学に行っていましたし、全員が同じテーマに取り組んでいたため、情報共有もスムーズでした。
一方で、今年の5月ごろから解決策の検証やプロトタイプの開発などが始まり、少しずつ人と動いているテーマが増えてきたんです。

migiさん:分かりやすく問題として出てきたのは、「これまで3, 4人でやってきたメンバーが”生き字引”のような存在で、よくも悪くもそのメンバーしか顧客や課題のことを知らない」ということです。
多くの現場から得られたインサイト(お客さまの現状や課題など)が、人に閉じていた状況だったんです。
—— インサイトが人に閉じていたことで、具体的にどんなことが起こってしまったのでしょうか?

migiさん:今となっては笑い話ですが、まず私を含めて新しく入ってきたメンバーと、これまで立ち上げを進めてきたメンバーで、一悶着ありました(笑)
今取り組んでいる新規事業は、製造業の工場の中でも特定の業務に関するものなので、理解するのがそもそも難しい領域でもあるんです。業界理解や、業務の全体像をつかむのもひと苦労ですし、ましてや事業を立ち上げるために、深い課題を捉えることは非常に困難です。

satoamiさん:これまで立ち上げを進めてきたメンバーとしては、数ヶ月分かけて検証してきた膨大なコンテキストやイメージがありますが、新しく入ったメンバーには、もちろん伝わらないんですね。
言葉を尽くして説明してくれる既存メンバーと、説明されてもイメージがなかなか湧かない新メンバーという構図で…。
これでは、人が増えても思うように事業の立ち上げスピードは上がりませんし、意思決定の質も悪くなってしまうと思い、どうにかしたいなと考えていました。
“生き字引”と”議事録データベース”ではない、第3の選択肢としてCentouを導入
—— 「人にインサイトが閉じていた状態」をどのように解決しようとしたのでしょうか?
migiさん:これまでも、現場への訪問の議事録はNotionに貯めてありました。
一方で、議事録がいっぱいあるだけでは、増えていくほど見返しづらいですし、結局「知ってる人は探せて、知らない人は知らないまま」になるんです。
そこで、まずはこの膨大な「巻き物」のように長い議事録を、探しやすいように整理するところから始めてみました。

膨大な顧客ヒアリング・現場訪問の議事録
migiさん:整理しながら、実際に新規事業の仮説検証に対して使える状態にしようと試みました。
しかし、議事録を探しやすくしたところで、仮説検証にそのまま使えるようにはならず、スプレッドシートに都度、仮説ごとに必要なファクトやインサイトをまとめ直す必要がありました。

satoamiさん:大変でしたよね。事業が立ち上がってくるにつれて、検証したい方向性も分かれてきて、仮説も増えてくるんです。そんな中で「ずっとこれやるの?」と思っていました。
migiさん:今後、事業が立ち上がってきて、さらに人が増えてくることも考えると、初期のように「全員が同じ現場に行って、脳内を同期する」といったことも、現実的に難しくなります。
このように、生き字引でなんとかする、議事録を整理する、などを試していて行き詰まったころに、「インサイト単位でデータをマネジメントする」という第3の選択肢としてCentouに出会ったんです。
現場の痛みを瞬時に共有できる。前提が揃ったチームは早くて強い
—— これまでの試行錯誤を経て、Centouへの導入を進めていただいたとのことで、ありがとうございます。導入後はどのように活用していますか?

satoamiさん:私たちの新規事業は、BtoB SaaSであることもあり、工場など現場の業務フローを正確に把握することが事業づくりの鍵になります。
そこで、FigJamとCentouの合わせ技で、業務フローと課題の把握を実現しています。

業務フローをまとめているFigJamの様子
satoamiさん:FigJamに大まかな業務フローを書き出し、そこにCentouで蓄積・分析したインサイトを貼り付けています。こうすることで、業務フローと課題をセットで見ることができます。
ここで重要なことは、業務フローがなんとなく分かっているだけでは、プロダクト開発やカスタマーサクセスなどには活かしきれない点です。「現場の痛み」と言いますか、どんな業務をしていて、何につまずいていて、どうしたいと考えているのか、この解像度の高い「痛みデータ」(= インサイト)こそ事業立ち上げに大事なんです。

migiさん:この「現場の痛み」に、どの職種でもアクセスできて、すぐに脳内が共有される。これが今までの「生き字引」的ソリューションや、「議事録データベース」のアプローチとは、大きく違う点です。
また、プロダクトの開発テーマに対して、「なぜやるか?」の説明にCentouのインサイトを引用しています。

satoamiさん:「痛みデータ」としてCentouのリンクを貼り付けておくことで、エンジニアメンバーは「これって本当に課題なの?」「どんなニュアンスなの?」といったことが、解像度高く把握できるようになります。
migiさん:余談にはなりますが、エンジニアメンバーも含めて、「本当にお客さまにとって価値になるの?」と真剣に議論ができる点が非常に頼もしく、プロダクトマネージャーとしても「絶対にムダなものはつくらないぞ」と引き締まります。
—— 実際に業務フロー上のインサイトが蓄積され、可視化されていくことで、チームにはどのような変化がありましたか?

satoamiさん:先ほどmigiさんがお伝えしたように、これまでは「精一杯伝えたけど、伝わっているだろうか…」といったことが起こっていました。
しかし、Centouでのインサイトマネジメントを始めたことにより、「すでに現場の状況や課題は伝わっている、どうミニマムに解決するか?」から議論がスタートできるようになったんです。
migiさん:お客さまの現状や課題に対して、全員が同じ景色を見れる、具体的なシーンが想像できるようになっていることは、とても大きなことだと感じています。
意思決定のスピードが全く違いますし、各職種で筋の良い判断ができる。エンジニアなどは顕著で、実装レベルでの判断が鋭くなることで、PMのレビューコストも減りますし、結果として、価値提供までのスピードが早くなります。
これからはプロダクト開発文脈だけでなく、カスタマーサクセスやセールスなどにもインサイトデータを活用していけたらと思っています。
職種が違えば、関心も違う。でも、現場ドリブンと顧客インサイトは共通言語だ。
—— インサイトマネジメントによって、新規事業のスピードと確度が大きく高まったことをお話いただきましたが、お二人にとってインサイトマネジメントとはどんな存在でしょうか?

satoamiさん:わたしにとっては「スケールする現場理解の仕組み」という感じでしょうか。
カミナシでは、大切にしている価値観の一つに「現場ドリブン」を掲げています。

satoamiさん:このカルチャーに私も非常に共感していますし、組織が大きくなっても形骸化しないように、全力で守りたいものだと思っています。
一方で、組織が大きくなるにつれ、先ほどもお話したように、全員が同じ現場にいくことも当然難しいです。組織のスケールとともに、現場理解もスケールしていく必要があるのに、これがすごく難しい。
つまり、「スケールする現場理解(顧客理解)の仕組み」が、私たちのカルチャーにとっても、事業成長にとっても必須なんです。私にとって、インサイトマネジメントは、現場の痛みに全員がアクセスできる、まさに「スケールする現場理解の仕組み」そのものなんです。

migiさん:加えて、組織が大きくなるほどに、職種も多様になります。
私たちの新規事業でさえ、徐々に役割が分かれてきて、役割ごとに関心ごとも変わってきます。そんな時に「関心ごとが別だから、それぞれで現場理解しよう」は、やはり遅いですしムダが発生します。
ではどうするか?と考えた時に、インサイトマネジメントは「異なる職種・役割をつなげる、共通のプロトコル」であると考えています。
現場ドリブンというミッションが全社共通のものであるように、「現場の痛み」を表すインサイトデータは、職種を超えた共通言語なんです。
—— 「現場ドリブン」というカルチャーから、インサイトマネジメントを通じた高速事業立ち上げまで、一貫して”現場”起点のすばらしい事業立ち上げプロセスで、今後のカミナシがますます楽しみになるインタビューでした。お二人ともありがとうございました!

利用シーン
新規事業立ち上げ
インサイトの一元管理
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