ユースケースの多様化に向き合うためのインサイトマネジメント —— グロース期における顧客理解戦略とは?

事業が成長するにつれて、必ず直面する壁の一つが「ユースケースの多様化」である。立ち上げ時には、シンプルな利用場面だったプロダクトが、顧客層や利用シーンが多様になり、課題解決の難易度が高まる。
シリーズCを迎えたスタートアップ、株式会社カウンターワークス(以下、カウンターワークス)では、このユースケースの多様化に対して、インサイトマネジメントに取り組んでいる。
グロースフェーズにおけるプロダクト開発の難しさや組織課題を、どのように乗り越えているのか?同社のインサイトマネジメントの取り組みを赤裸々にお話いただいた。
プロフィール
ショップカウンター エンタープライズ
商業施設向けリーシングDXシステム。商業施設が自社スペースを掲載する「テナント募集サイト」と、問い合わせ・営業・テナント情報管理やスペースの稼働管理ができる「営業管理システム」をSaaS型で提供。
山本 健人(ケント)
取締役CDO
小野 航
デザイナー
目次
事業の成長にともなって、ユースケースが増加
—— 今日はお時間いただきありがとうございます。まずは、お二人について教えてください。

ケントさん
ケントさん:カウンターワークスの創業メンバーとして参画し、2015年からCDOに就任し、デザインやプロダクト開発全般を管掌しています。

小野さん:同じくカウンターワークスでデザイナーを担当しています。
商業施設向けに、自社のスペースを貸し出したり管理できるリーシング※DXシステム「ショップカウンター エンタープライズ」のプロダクトデザインを行っています。
※ リーシング : 商業施設によるテナントの誘致・募集業務のこと

ショップカウンターエンタープライズは、日本を代表する商業施設が利用している
—— インサイトマネジメントに取り組もうと思った背景にはどんな出来事があったのでしょうか?

ケントさん:ショップカウンター エンタープライズ以外に展開しているポップアップストアの出店支援プラットフォームの「ショップカウンター」は、もともとアパレルブランドの展示会で使われることがほとんどだったんです。
たとえば、表参道や青山などのレンタルスペースで、ファッションブランドがポップアップストアをやるようなイメージです。
しかし、事業が伸びてくるにつれて、他にもユースケースが増えてきたんです。ひと口に「レンタルスペースを貸す・借りる」といっても、作家の個展や、撮影・ロケ、音楽イベントまで、さまざまな利用シーンが出てきました。

小野さん:ユースケースが多様になることで、「今どの話だっけ?」などのコミュニケーションのすれ違いや、誰がなんの情報を知っているのか、分かりづらくなってきたんです。
「なんでこの施策やるんだっけ?」—— 顧客の課題やインサイトに立ち返ることができなかった
—— プロダクトが満たすべきユースケースが多様になるにつれて、どのような問題が起こっていたのでしょうか?

小野さん:事業も大きくなっていく中なので、いくつものプロダクト改善や新規施策が走っている状態でした。
そんな中で、施策の元になった顧客課題やインサイトに立ち返れないことが何度かありました。
たとえば、UIデザインを進める際などは「どんな人が困ってるのか?」「どんな状態になればいいのか?」などが明確でないと、作ったものの使われないものになってしまいます。
しかし、そのような顧客課題やアウトカムについて、具体的にどんなお客様が言っていたのかなど、元のデータをたどろうとしたときに、たどれない状態だったんです。

ケントさん:また、社内のメンバーに聞こうにも、どの人がどんな情報を持っているのかも、正直把握することは難しいんです。
たとえば、キッチンカー領域に詳しい人に聞いたら、キッチンカー領域のお客様の情報は得られるものの、そのデータが全体のどのぐらいのものなのかも分からない。
社内で聞けていない顧客課題やインサイトがあるなら、新たにインタビューなどで獲得することも必要ですが、すでに誰かが把握しているなら、聞けた方が圧倒的にスムーズです。
つまり、誰が何を知っているのか把握できないことや、もっというと(プロダクトで満たすべきユースケースについて)「何が分かってて何が分かってないか、分からない状況」だったんです。

既存ツールで、インサイト蓄積の仕組み化にチャレンジするも多くの課題に直面
小野さん:まずは社内ツールで、インサイトの管理ができないかを試してみました。
Notionにデータベースをつくって、インタビューの議事録データベースと、そこから得られたファクトデータベース、さらにインサイトデータベースをつくってみました。

小野さん:今振り返ると、最初はちゃんとやろうとしていたようですが、挫折していますね笑。
仕組みをつくった自分でさえ管理が複雑だったので、これを社内に広めていくイメージは湧きませんでした。
また、まとめたデータベースから、FigJamなどに引用して図にまとめようとしたんですが、そうすると、当初の問題だった「たどりやすさ」は解決されないんです。
そこで、既存のツールで(インサイトマネジメントの実現が)難しいと分かり、Centouの導入を決めました。
まとめやすさと取り出しやすさでCentouを導入
—— Centou導入の決め手はどのような部分でしたか?

小野さん:議事録→ファクト→インサイトと、得られた学びを整理していくことに意味があるということは、自社で試してみて感じました。
しかし、既存のツールでは管理があまりに煩雑で、チームでインサイト管理をすることや、複数人で運用することは難しいということも同時に感じました。
そのため、以前から気になっていたCentouの導入を進めようと、CDOのケントさんに相談したんです。
異なる職種やポジションでも、圧倒的にスムーズに意思決定できるように
—— 具体的に、Centouをどのような場面で活用していますか?
小野さん:新機能開発の際の、仮説検証で活用しています。
たとえば、商業施設のイベント開催における課題を調査するプロジェクトがあったんです。
商業施設でのイベント開催といっても、都心にある施設か地方の施設、駅ビルなのか、全国にある施設なのか、地域固有の施設なのか、など施設の特徴によって状況がまるで違うんです。
このプロジェクトでは、イベント開催での価値提供をより強めるために、商業施設の特徴とインサイトをセットで、レポート機能で可視化しました。

小野さん:インサイトベースで整理することで、「何が分かってて、何がまだ分かっていないか?」の説明も非常にしやすかったです。
インサイトだけでなく、実際の議事録まですぐに辿れる点が、議論する上でとても役に立ちました。このレポートを元に「そこはあまり課題じゃないのでは?」「地方の企業さんでは課題が違うかも?」など、論点がさらにクリアになりました。
インサイトは知らない間に分散する、だからインサイトマネジメントが必要
—— これまでインサイトマネジメントに取り組んできたお二人にとって、インサイトマネジメントとはどんなものですか?

ケントさん:組織が大きくなってきて、1つのお客様をとっても別の視点で見ていることが増えてきました。それによって、思い描く顧客像も当然変わってしまいます。
インサイトマネジメントによって、単なるデータの一元化だけでなく、いろんな職種が「顧客インサイトデータ」という共通の軸でコラボレーションできることに価値があると感じています。
小野さん:ケントさんの言葉を言い換えるならば、「顧客インサイトは放っておくと、いろんなところに分散してしまう」ということだと思っています。

小野さん:本来は全員知っておくべきものなはずなのに、一部のメンバーに貴重なドメイン知識や顧客から得られた情報が偏ってしまう、意図せずインサイトの独占が起こる...。これを無くしたいんです。
「(インサイトを)知らない」というだけで、議論に入りづらい場面もあると思います、特定の誰かがインサイトを持っている状態は、(たとえばその人が休んだ時など)非常にリスクがあります。
インサイトマネジメントは、この「インサイトが点在している状態」を解決するものだと思います。
——すばらしいインタビューでした。グロースフェーズを駆け抜けるカウンターワークス社を、今後ともぜひCentouでサポートさせてください!
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