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「“とりあえずリリース”では足りない」 —— インサイトマネジメントで進化する、ADWAYS DEEEでの次のアジャイル開発

「“とりあえずリリース”では足りない」 —— インサイトマネジメントで進化する、ADWAYS DEEEでの次のアジャイル開発

アジャイル開発の必要性が叫ばれて久しい。しかし、顧客価値の探索プロセスは、未だ不透明で属人的な組織も多いのではないだろうか?

そんな中、インサイトマネジメントでアジャイル開発を次のフェーズに進めているのが、株式会社ADWAYS DEEE(以下、ADWAYS DEEE)である。

「10年かかりました。」——ビジネス中心の組織文化から、プロダクト起点で成長する組織への変化には多くのチャレンジがあった。そんな「組織文化変革」という大きなチャレンジに取り組む同社を徹底取材した。

プロフィール

ADWAYS DEEE

国内最大級のアフィリエイトサービス「JANet」「Smart-C」、リワード広告ソリューション「AppDriver」などのプロダクトを提供

田中 竜馬

アドテクノロジーDIV ゼネラルマネージャー

小島 雄一

アドテクノロジーDIV プロダクトデザイナー

目次

数年かけて、プロダクトで成長できる組織へ

—— 今日はお時間いただきありがとうございます。まずは、お二人について教えてください。

奥:田中さん

田中さん:プロダクト組織全体のマネジメントをしている田中です。

ADWAYS DEEEでは、現在、新規事業も含めて4つの事業を手掛けていますが、各プロダクトのロードマップや、組織づくり、ビジネス組織との連携に取り組んでいます。

小島さん

小島さん:わたしは4つの事業のうちの1つ「JANet」という事業で、プロダクトデザインを担当しています。

アドテクやアフィリエイト広告の領域に長くいたこともあり、ADWAYS DEEEの「プロダクトで市場構造を変えようとする姿勢」に共感して入社しました。

—— ADWAYS DEEEでは、長年「プロダクト起点の事業成長ができる組織」に投資し続けてきたと聞きます。どのような背景があるのでしょうか?

田中さん:実は、アフィリエイト広告業界は、この20年ぐらいビジネスモデルの変化が起きていないんです。

たとえば、「アプリで消しづらいバツボタンの広告」などにイライラしてしまうことはありませんか?

このような現象は、アフィリエイト広告業界が、生活者(エンドユーザー)ではなく、広告を出稿する顧客企業のみを優先し、目の前の獲得効果などを追いすぎた結果の一つなんです。

小島さん:このような業界を、プロダクト起点で変革していくADWAYS DEEEは、非常にめずらしい存在なんです。

どうしても業界的には「顧客の要望をビジネスサイドが聞いて、要望通りに開発が進む」という進め方になりやすいんです。

結果として、以前のわたしたちもそうでしたが、以下のような摩擦が起きてしまいます。

  • ビジネスサイドでは、要望どおりに早くつくってほしいのに、なかなか対応が進まない
  • 開発サイドでは、要望通りにつくったものが使われずにフラストレーションが溜まる

田中さん:ADWAYS DEEEでは、この「要望をそのままつくってしまうプロダクト開発」から脱却しない限り、新しい価値をつくっていくことはできないと重く捉え、組織開発に10年以上投資してきました。

当たり前にアジャイルな組織でいるためには、インサイトマネジメントが必要

—— 要望をベースにしたビジネス主導のプロダクト開発は、非常に多くの組織の悩みになっています。ADWAYS DEEEでは、どのように乗り越えているのでしょうか?

田中さん:もとより組織全体で「プロダクト組織」と「ビジネス組織」の責任の明確化を進めてきました。

ビジネス組織とプロダクト組織のスタンスを明確に

そして、プロダクト組織では、「新しい価値を、より素早く届けること」を目的として、アジャイル開発をずっと推し進めてきました。

そんな中で、「ユーザーの課題を見つける」「価値を定義する」「ユーザーストーリーを定義する」などのプロセスが、どうしても空想で進んでしまったり、うまく議論できないことがあったんです。

価値の発見や探索を、どうすれば当たり前のようにできるか?とずっと悩んでいたんです。

そんな中、同様の経験や課題を感じていた小島さんと採用活動を通じて出会い、意気投合!今に至ります。

小島さん:わたしが入社して最初の仕事が、プロダクト探索のためのメディアへのリサーチだったぐらい、ADWAYS DEEEは価値の探索や発見のプロセスを模索しているところでした。

そんな時に、Centouのドキュメントと出会いました。読んでいく中で「これだ!」と思ったんです。

田中さん:要望中心の開発フローから、顧客インサイト中心の開発フローへと変化することは、大きなパワーが必要です。変化のためには、「組織として問題提起をしていくマネジメントの取り組み」と、「現場での強い推進力」の2つが欠かせません。

現場をリードできる小島さんが来てくれたことで、本格的に変えていけそうと感じました。

「ユーザーインサイト」という単位こそ、アジャイルを次に進める突破口

—— 価値の探索プロセスを、安定してチームで行うためにインサイトマネジメントに取り組もうと思ったのですね?

田中さん:おっしゃる通りです。代表や経営陣も、顧客起点でプロダクトを伸ばすことに同じ問題意識を持って一緒に考えてくれる存在だったこともあり、本当にあとは現場として具体的にどうやっていくかを決めるだけでした。

そのHowをずっと模索してきたんですが、まさにインサイトマネジメントだと感じています。

インサイトマネジメントを行うにあたり、Centouの導入もセットで決めました。

小島さん:他にもサービスをいくつか見ていましたが、「(ユーザー)インサイト」という単位をベースに、さまざまなアウトプット(ペルソナや各施策)に繋げていく体験は、Centouでしかできないと感じました。

田中さん:加えてCentouチームからも、信頼できるパートナーとして、打ち合わせなどで良いフィードバックをいただけるんです。

「ツールはあくまでツールです。どう成果をつくっていくか、一緒に考えられるサービスやパートナーであって欲しいです」と強く要望を伝えている中で、それに応えてくださっていることが非常に心強いです。

—— 具体的にはどのようにインサイトマネジメントを実践されているのでしょうか?

小島さん:まず、ADWAYS DEEEでは、インサイトをステークホルダーごとに分類して蓄積しています。

広告主の方や、広告出稿先のメディア、その間を取り持つ代理店など、多くのステークホルダーがいる業界です。

そのため、ステークホルダーごとのインサイトや、その関係性を考慮しながらプロダクト開発を進める必要があるため、このような設計にしています。

JANEEE事業でのインサイトの一覧(Centou)

小島さん:また、このような構造にまとめた上で、各プロジェクトに対してインサイトを引用しています。

1つの例として、メディア向けのプロダクト開発を進めている際に、「広告主に対して、自分たちの対応の徹底ぶりをアピールしたい」というインサイトがあったんです。

蓄積されたインサイトを、プロジェクトに必要なものに再編集したときの様子(Centou)

また、逆の視点で広告主や代理店でも、似たようなインサイトがあったんです。

このように「実現したいことは似ているものの、視点の違いや業務の違いから起こっている課題」なども、多くあります。

田中さん:これが、ステークホルダーが多い領域でのインサイトマネジメントの難しさであり、醍醐味の一つだと思っています。

つまり、登場人物が多いからこそ、その関係性の中で出てくる課題や要望があり、それらを俯瞰的に捉えてプロダクトを提供する必要があります。だからインサイトマネジメントをしなければいけないんです。

“とりあえずなんでも”から、“とりあえず可能性あるものをやろう”へ

—— インサイトマネジメントに取り組んでみて、得られた効果はどのようなものだったのでしょうか?

田中さん:組織的な効果と、事業的な効果の2つがあります。

組織的には、まずは「インサイト」という単位を通じて、顧客の課題や実現したいことについての会話が増えてきたことが挙げられます。

冒頭でもお伝えしたように、「顧客課題や価値について、チームで扱う」というのは、アジャイルの基本でありながら、当たり前に行うことが非常に難しいです。気を抜いたらすぐに、架空の課題設定や、依頼する側とされる側という関係になってしまう。

インサイトという単位を起点にして会話ができるようになることは、組織文化を変えていくことでもあるので、じっくり腰を据えてやっていきたいなと思っています。

小島さん:事業的には、ロードマップやMVPをインサイトを元に決められるようになってきたことでしょうか。

何を根拠につくるのか?という「Why」が顧客視点で説明できるようになってきたことは、大きな進歩だと考えています。

また、結果として「インサイトが足りてないから、集めにいこう」と顧客接点の数も増えました。

「インサイトの蓄積」が開発フローの中に入ることで、逆説的に「蓄積が足りてない」ことにも気づけるようになっています。

—— さいごに、ADWAYS DEEEにとってインサイトマネジメントとはどのようなものでしょうか?

田中さん:数年前まで、アジャイル開発を行うことは「スピーディーになんでも実験する」ぐらいに捉えていました。

しかし、段々とプロダクト組織が育っていくにつれて、「とりあえずなんでもやってみる」では事業も伸びず、結果としての顧客価値にも大きな影響を与えることができないと気づいたんです。

「とりあえずなんでもやってみよう」ではなく、「とりあえず“可能性があるものを”なんでもやってみよう」なんです。

インサイトマネジメントは、この可能性の部分。顧客価値、ひいてはその先の事業成長につながる可能性のバケツをつくることだと捉えています。どんどんインサイトを蓄積することで、可能性が高まっていきます。

アジャイル開発を単なるデリバリーの高速化として捉えるのではなく、価値提供の高速化として実践するためにインサイトマネジメントがあると思っています。

—— 「ビジネス主導からプロダクト主導へ」「真のアジャイルとは?」「可能性のバケツ」などいくつもの素晴らしいキーワードが聞けて大変貴重なインタビューでした。ありがとうございました。

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