3ヶ月で高速事業立ち上げ —— 徹底したインサイトマネジメントで急成長する「ヴィーガン寿司」の知られざる裏側

コロナ禍で一気に落ち込んだインバウンド産業(訪日外国人観光産業)も少しずつ回復する中、外国人観光客に向けて「ヴィーガン寿司レストラン」を提供する「Vegan Sushi Tokyo」
渋谷に突如現れたこの寿司レストランの立ち上げには、Centouを使った徹底したインサイトマネジメントがあったといいます。
どのようなインサイトを捉え、どう活かしたのか、立ち上げを推進した3人に詳しくうかがいました。
プロフィール

Vegan Sushi Tokyo
(株)ブイクックが運営するヴィーガン寿司専門店。2024年6月より道玄坂にオープン。

工藤 柊
株式会社ブイクック代表取締役

吉川 夕葉
株式会社ブイクック取締役

前田 かずえ
株式会社ブイクック マーケティング・プロモーション
目次
コロナ禍を経て、新規事業をスタート
—— 今日はお時間いただきありがとうございます。まずは皆さんについて教えてください。

工藤さん(以下敬称略):ヴィーガン寿司専門店「Vegan Sushi Tokyo」の経営を行っている工藤です。新規事業としてVegan Sushi Tokyoを立ち上げ、今年の6月に店舗をオープンして以降、メニュー開発や店舗での接客などを行っています。

吉川さん(以下敬称略):同じくメニューの開発や接客を担当しながら、店舗の運営を行っている吉川です。
前田さん(以下敬称略):私は、訪日外国人の方に見つけていただきやすくなるようなSNSでのプロモーションや、Googleマップなどのタッチポイント設計に関わっています。
—— ありがとうございます。ヴィーガン寿司専門店を始められたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

工藤 : 数年前から、ヴィーガンの方にとって選択肢を増やすための事業を展開してきました。その試みの一つとして、ヴィーガン商品専門EC「ブイクックスーパー」、日本初のヴィーガンレシピ投稿サイト「ブイクック」なども運営しています。
事業を進める中で、多くのヴィーガンの方のお話を聞くのですが、「(ヴィーガンにとって)外食の選択肢が少ない」という意見が多くありました。
吉川 : 食品メーカーさんなどから、ヴィーガン向けの商品も少しずつ出てくるようになってきて、おうちでのヴィーガン食の選択肢は、徐々に増えてきました。一方で、外食の際にヴィーガンメニューを提供する店舗はまだまだ少ない状況だったんです。
そんな中、コロナ禍が少しずつ落ち着いてきて、インバウンドの観光客の数も回復してきました。

前田 : 今回の新規事業を始める以前から集めていたヴィーガンの方のインサイトや課題と、インバウンド市場の回復の2つをきっかけに始めたのが、ヴィーガン寿司専門店「Vegan Sushi Tokyo」です。

工藤 : 広告費ゼロにもかかわらず、オープン当日から多くの方に来ていただき、Googleマップのクチコミでも大変好評をいただいております。
3ヶ月でスピーディに立ち上げながらも、届けたいターゲットに強烈にフィットする事業をつくれている実感があり、確かな手応えを感じています。Centouから生まれた事業といっても過言ではありません。
ターゲットからソリューションの検証まで、インサイトをフル活用
—— 好調な立ち上がりで、Centou運営チームとしても嬉しいです。外国人観光客に向けて、ヴィーガン専門寿司を提供することを決めるまで、どのようなプロセスがあったのでしょうか?

吉川 : インバウンド市場の成長度合いや、これまでのヴィーガンの方から得た課題やインサイトを元に、「外食周りの何か」をやることは決めていました。
しかし、ヴィーガンの方が外食に対して何を求めているのか、中でも外国人観光客は何を求めているのかなど、想定するターゲットへの解像度が低い状態でした。
そこで、ターゲットや課題の検証として、まずは旅行中の外国人や、ヴィーガンメニューを提供する飲食店へのインタビューを数十件以上、積極的に行いました。

前田 : ある時は、ヴィーガンレストランに来ている訪日外国人の方に声をかけて立ち話をしたり、ある時は、知り合いの外国籍のヴィーガンに紹介してもらったり...。何も分からない状態だったので、本当に多くの方にお話を聞かせていただきました。
聞いた話をCentouにまとめ、ファクトを抜き出し、インサイトにまとめていく中で、一口に「日本に来る外国人観光客」といっても、目当ての観光スポット・旅行期間・一緒に来ている人がヴィーガンなのか、などさまざまな軸があることが分かりました。
そして、集めたファクトやそこから抽出したインサイトを、カスタマージャーニーマップなどに再編集してまとめていき、外国人観光客の行動・課題を正確に理解できるようにしました。

工藤 : ジャーニーマップなどにまとめていく中で、ヴィーガンの外国人観光客の方が訪れるスポットや旅行先には、ある程度のパターンがあることや、日本での外食に求めるものへの共通点があることが分かってきました。

また、東京、京都、広島などの観光地ごとに課題が違う可能性もあったため、社内のメンバーで手分けして出向き、現地でヒアリングを重ねました。地域によって課題が違う場合、ソリューションも変わってくるため、徹底的にインサイトを集めました。
吉川 : 結果として、飲食店を探す場面では困っていないものの、ヴィーガン対応の飲食店自体が観光地の近くにない場合があるなど、「観光を優先するか、少し移動して食事をとるか」のようなトレードオフに悩まされていることが分かってきました。
また、ヴィーガンの訪日外国人が「食べたいけど満足いくものが食べられない」料理として、寿司が多かったため、観光地付近での寿司レストランを展開することに決めました。
妄想・想像で決めるのではなく、インサイトをベースに意思決定を行う
—— ソリューションの方向性が決まってから、どのように具体化し、店舗のオープンにこぎつけたのでしょうか?

工藤 : 寿司レストランを開くといっても、メニューもいわゆる日本の回転寿司で並んでいるようなものを、そのまま用意すれば良い訳ではありませんでした。
事前のインタビューで「既存の回転寿司のヴィーガン対応メニューには、満足していない」というインサイトがあり、提供するメニュー次第で、事業の成功が左右されると考えました。
そこで、簡単にメニュー表のプロトタイプを作成し、何人かの訪日外国人観光客の方に見てもらいました。

前田 : 私たちとしては、「日本ぽい見た目・材料を使ったものが良いのでは?」と考えていましたが、予想は大きく外れました。
よく聞いてみると、訪日外国人観光客の多くは、自国で寿司を一度食べたことがあり、日本で本場のお寿司を味わいたいと同時に「食べ慣れているカリフォルニアロールなどを食べたい」などのインサイトがあったのです。
吉川 : プロトタイプを通して得られたインサイトを、さらにCentouに貯めていき、以下のような、より具体的なアクションを進めていきました。
- 店舗の場所の選定
- 店舗の内装
- Google Mapでの店舗情報の記載
- 具体的なメニューの開発
- 食材の仕入れ
こうして、3ヶ月の期間で市場の選定や課題特定、店舗を含むMVP開発まで、高速で行うことができました。

吉川 : スピーディに立ち上げられただけでなく、店舗の雰囲気から寿司のメニューまで大変好評で、オープンから2週間ほどで70件以上の5ツ星レビューをいただくことができました。
工藤 : これまでの事業運営で、お客さま・生活者について、どうしても妄想で議論が進んでしまうことが多くありました。結果として認識がズレたり、施策や事業が思うように伸びないこともあったんです。
しかし、Centouを導入して使い続けるうちに、インサイトドリブンな意思決定が当たり前のように行われるようになっています。
余談ですが、インサイトマネジメントを徹底するようになってから、スピードやチームの納得度など、得られるものが非常に多く、社内のバリュー(行動指針)にも「インサイトから始めよう(Insignt Driven)」というのが追加されたんです。
インサイトは、失敗する可能性を極限まで下げるもの
—— 会社のカルチャーにもなるほど、徹底してインサイトマネジメントにこだわる「Vegan Sushi Tokyo」の皆さんにとって、インサイトとはどのようなものでしょうか?

前田 : 私にとっては、「発想の良いスタート地点」ですね。
SNSでのプロモーションや口コミが功を奏し、Vegan Sushi Tokyoをオープンしてから、日々想定を超えるお客さまにお越しいただいているんです。SNSのプロモーション施策や、口コミを生むための施策など、どの施策もインサイト起点で考えているため、確実に結果が出ています。
工藤 : 事業責任者の立場では、「失敗する確率を極限まで減らす存在」でしょうか。
これまでも、ユーザーインタビューやヒアリングはしてきたものの、議事録の蓄積に止まっていました。Centouを使って、インサイトに落とし込み管理をしていくことで、「お客さまが何を必要としているか?」「なぜ必要としているか?」などが、明確になり、事業の方向性からメニュー、料金など細かな部分まで、インサイトが意思決定の指針になっています。
そして、広告など一切回していないのですが、すでに満席になる日もあります。今後も事業を継続し、スケールさせていくべきだと確信が持てています。
—— Centouをフル活用し、新規事業の素晴らしいスタートダッシュを切った「Vegan Sushi Tokyo」を、これからもサポートしていければと思います。お時間いただきありがとうございました!





