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カミナシPdMに聞く、BtoBプロダクト開発でのインサイトマネジメント実践

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  • 過去イベント資料
カミナシPdMに聞く、BtoBプロダクト開発でのインサイトマネジメント実践

ハイライト

  1. 急成長スタートアップ「カミナシ」では、年間の現場訪問総数が3,000回を超えるほどに、「現場ドリブン」を徹底している
  2. 新規事業の立ち上げにあたり、インサイトマネジメントの仕組みづくりに取り組んだ
  3. 扱いが難しい定性データを、再利用できる形で管理することで、「スケール可能な顧客理解」を目指した
  4. リリース後は顧客の反応が非常に良く、導入社数も順調に増え続けている

登壇資料

くわしい解説

1.「カミナシ」と「カミナシ 設備保全」について

  • カミナシのミッションは「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」
  • 対象となるノンデスクワーカーは、工場やホテルで働く方々など約3,900万人にのぼる
  • 設備領域に該当する新規事業、『カミナシ 設備保全』を2025年2月3日にリリース
  • カミナシ 設備保全は、「設備のメンテナンス業務」をデジタル化するプロダクト
  • これからの話は、チーム全員にとって未知だった「設備保全」のドメインで、顧客に選ばれるプロダクトをどうつくったのか。その裏側でどのようにインサイトマネジメントしていたかについて

2.「全員素人」から始まった新規事業

  • 設備保全ドメインに詳しい人が、社内に誰もいない「全員素人で始まった新規事業」だった
  • 設備の種類や業務フロー・顧客の課題などを、実感を伴って理解できていなかった
  • カミナシの「現場ドリブン」に基づき、とにかく現場に行って顧客と話すように
  • 「現場ドリブン」は全社に根付いており、2024年の現場訪問総数は約3,100回にのぼる
  • 例えば食品工場に訪問した際には、設備保全の業務フローを一通り見せてもらいながら、現場での行動や状況を細部まで確認させてもらっていた

3. 現場で得た「定性データ」をプロダクト開発に活かしたい

  • 「現場に行って終わり」にしないために、現場で得た定性データをプロダクト開発に活かしたい
  • 開発チーム全体が納得感を持って意思決定できるように、「ファクト(事実)で会話したい」必要があった
  • ファクトには大きく、「定量データ」と「定性データ」の2種類がある
  • 特にBtoBプロダクトや新規事業立ち上げ期では、(定量データがないため)定性データの重要性が高い
  • 一方で定性データは扱いが難しく、解釈に主観が入りやすい
  • 扱いが難しい定性データを、定量データのように再利用できる形で管理したいと考え自チームで小さく試してみることに

4. “属人的な生き字引”と“都度まとめ直し状態”に感じた限界

  • 当初はNotionに議事録(リサーチ結果)をまとめていたが、結局知っている人しか探せず、議事録が増えるほど見返す量も増える構造になっていた
  • 施策検討のたびに「あのお客さんは何て言ってたっけ?」を確認するため、都度議事録を掘り返し、スプレッドシートに転記して、まとめ直す必要があった
  • 当時の課題は「属人的な生き字引」と「都度まとめ直し」の2点で、このままではスケールしないという危機感が強かった
  • 少人数なら頭の中を共有できても、プロダクトや組織が拡大すれば破綻する
  • 早めの投資で「スケール可能な顧客理解」を実現するために、Centou導入を意思決定

5. カミナシ流、Centouを使った開発プロセス

  • カミナシでは、Centouを約8ヶ月間運用している(※2025年2月時点)
  • 開発プロセスのほぼすべてのステップでインサイトを活用しており、そのインサイト管理をCentouで行っている
  • カミナシで実現したい開発プロセスを定義した結果、Centouが最もフィットした
  • チーム全員が具体的なユースケースを説明できるレベルまでドメイン理解が揃い、デリバリーが自律的に進む状態となっている

6. Centouの良かったところ

  • ① 開発速度が速い状態をキープできている
  • チーム全員がユースケースを高い解像度で理解しているため、自律的に納得感のある意思決定ができ、手戻りもほぼ発生していない
  • ②「似た話なかったっけ?」を探す手間が減った
  • Centouに顧客の声が集約されており、インサイトから一次情報までたどれるため、解像度も透明性も高い状態を保てている
  • ③ 開発チーム全体の共通言語になっている
  • インサイトが蓄積されていることで、細かな仕様は各メンバーが自律的に判断でき、PdMはより戦略レイヤーの意思決定に集中できている

7. Centouのつらかったところ

① Centouが「業務効率化ツール」と捉えられ、他チーム展開に失敗した

  • Centouの本質は効率化ではなく、「顧客にとって意味があり、開発チームが解くべき課題」を見極めるためのもの
  • 地道で泥臭いインサイト管理こそディスカバリーの肝であり、現場ドリブンなカミナシにおける競合優位性にもつながる

②「ちゃんと運用しよう」とし過ぎてつらかった過去も

  • 毎日増えていくリサーチを都度確認して、ちゃんと整理しようとすると負荷が大きい
  • まずはリサーチをためておき、探索フェーズでまとめて整理する運用に切り替えたところ、うまく回り始めた

8. 今後の展望

① 開発チームに閉じないインサイトドリブンな開発の実現

  • 顧客接点の多いビジネスチームもインサイトマネジメントに取り組めば、一次情報が集まりやすくなるうえ、ビジネスチーム目線でも納得感のある開発につながる
  • 現場ドリブンなカミナシで、「全社でプロダクト開発している状態」を実現できる

② Centouをプロダクト開発における標準ツールにすること

  • カミナシでは、現場ドリブンな文化を土台にマルチプロダクト化を進めていく
  • 他チームの知見やインサイトをCentouを通じて横展開できれば、再現性の高いプロダクトづくりに活かせる
  • すでに他の新規事業チームでもCentouを利用しており、活用範囲が広がっている

9. Q&A : インサイト管理の具体的なイメージ

  • カミナシ 設備保全チームのCentouを例に、インサイト管理のイメージを紹介する
  • ホーム画面では、大小さまざまな円で、チームが持つインサイトの総量が示されている
  • 「監査業務」「データ分析」など、設備保全に関するテーマ毎にインサイトを貯めている
  • リサーチ(議事録)が約200件、その中から抽出されたインサイトは約1,000件にのぼる(※2025年2月時点)
  • これらを見れば、「設備保全の中にどんな業務・課題が存在するか」の全体像をつかめる
  • 円が大きいテーマほど顧客の発話量も多く、課題・ペインが集中している可能性が高い

10. Q&A : 蓄積したインサイトの活用法 —— 業務フローの可視化

  • Centouには、蓄積したインサイトをひもづけながら、自由度高く図解・整理できる機能(ホワイトボード)がある
  • カミナシではそれを用いて、顧客の業務フローを詳細に可視化している
  • 業務フローにインサイトがひもづいているため、「いつ・誰が・どんな状況で・どんなペインを抱えるのか」をチーム全体で同じ解像度で理解できる
  • 解消すべきペインを特定したあとは、ユースケース設計やドメインモデリングなど、開発に向けた整理を段階的に進めていく

11. Q&A : 蓄積したインサイトの活用法 —— 施策検討・優先度決定

  • 蓄積したインサイトを用いた施策検討や優先度決定も、Centou上で行っている
  • 大量のVoC(顧客からの声)を受け取る中で、都度解消するのではなく、テーマごとにインサイトを分類し、重要度に沿ってまとめて解消する運用にしている
  • 重要度を判断する観点は、大きく2つある
  • 業務上の“大通り”か : メインの導線で起きている問題は早めに解消するべき
  • 声が多いか : インサイトごとの「紐づくリサーチ数(何人・何社が言っているか)」を見て判断する。たとえば20社中15社が言っているなら、重要度が高いと判断できる

12. Q&A : 新規事業で、インサイトを重視したから実現できたこと

  • インサイトを起点に費用対効果の高い機能開発ができた例を紹介する
  • きっかけは、「設備情報に資料を添付したい」という要望が多く寄せられていたこと
  • 要望を紐解くと、添付したい資料は顧客ごとにばらつきが大きく、多い場合は20〜30件、形式もPDF・Excel・PowerPoint・画像など多種多様だった
  • さらに、設備データ特有の秘匿性・セキュリティ懸念も一定数確認できた
  • 一方で、「Google Driveなど既存のストレージサービスや、動画マニュアル作成などのSaaSをすでに導入しているケース」が想像以上に多かった
  • そこで、カミナシ上に資料を添付するのではなく「URLを貼り付けられる」ようにした
  • 開発工数もミニマムでありながら、顧客の要望を満たし、ストレージ費用やセキュリティ面の論点も回避できるという、高い費用対効果につながった

13. Q&A : なぜインサイトマネジメントに、ビジネスサイドも巻き込むべきなのか

  • これだけ現場でリサーチを重ねてもなお、「顧客をまだまだ知らない」と思っている
  • 最も顧客接点があり、一次情報を持っているのは、セールスやCSなどのビジネスチーム
  • 彼らの知見や一次情報を活かせれば、機能開発の質が上がるだけでなく、事業成長に向けた打ち手そのものも強くなる
  • ただし、ビジネスとプロダクトの間をつなぐのは難しい
  • 根っこにあるのは「共通言語がない」ことであり、だからこそ共通言語としてのインサイトで両者をつなぐことが重要だと考えている
  • ビジネスメンバーをうまく巻き込むために、なぜインサイトが重要なのかという意義を丁寧に伝えつつ、効果を実感できるような仕組みづくりも徹底している

登壇者について

右田 涼 (株式会社カミナシ プロダクトマネージャー)
株式会社カミナシのプロダクトマネージャー。100回以上のヒアリングと30回以上の現場訪問を重ね、得られたインサイトをもとに新規プロダクト「カミナシ 設備保全」の立ち上げを担当。データ分析基盤構築の経験を活かし、インサイト管理を通じてユーザー理解を深めながら事業成長を推進している。

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