数値管理だけでは足りない? LTVを高める次のステップ「顧客インサイト管理」のススメ
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過去イベント資料

ブランドは売上に直結する
一方で、ブランドの要素である「ビジュアル」「キャッチコピー」などは、生成AIなどにより模倣可能に = 武器として弱くなった
そこで、より重要性が増してきたのが「一貫性」(Integrity)であり、それを支える「インサイト管理」(Insight Management)
チームでのインサイト管理を行うことで、驚異的なリピート率などを実現(実際の事例や施策も解説)
まるでチーム内に「インサイトの冷蔵庫」をつくるように、貯める・アップデートできるようにしていくことで、一貫性と成果の再現性がつくれる
今回のテーマは、LTV向上を目的としたインサイト管理のススメ
ブランディングの専門家としてLTVの話をするのは、ブランディングとLTVはつながるものだと考えているから
ブランディングの定義:マーケティングをお客さまの「行動」を変える手段だとすれば、ブランディングは行動変容につながる「認識」を変える手段である
一般的にブランディング施策としては、魅力的なビジュアル・ネーミング・コピーをつくることが挙げられる
しかし生成AIが発展する中で、これらのアウトプットはAIで代替可能になっていく
その結果、ブランドは平準化しやすくなり、ビジネスの武器になりづらくなっていく
そこで武器になるのが、Integrity(一貫性・真摯さ・誠実さ) という考え方である
近い概念として、Authentic(正真正銘・伝統的)やNarrative(物語・文脈)がある
これらはAIでは生み出しづらい”人が信頼したくなる要素”をもたらす
Integrityの考え方に基づき、「一貫した軸を持つこと」がブランディングの核となる
この「一貫性」は、リテール領域のCRM —— 顧客との関係性をマネジメントするうえでも非常に重要な考え方である
購入前・購入時・購入後3つのステップすべてで、一貫性した態度を示す必要がある
CRMは購入後の体験に注力されがちだが、顧客との関係構築は購入前から始まっている
購入前から購入後まで、一貫した体験を設計することが、LTVの最大化につながる
購入前から購入後までの一連の体験において、施策がバラバラに展開され、成果につながっていないブランドは多い
施策がバラバラになる背景には、組織内での「顧客認識がバラバラ」な状況がある
ある企業では、ブランドの成長に伴って組織規模も拡大し、年次・部署・役職といった立場の違いが増えるにつれて、顧客認識がズレてきていることに危機感を抱いていた
本来は組織内で丁寧に話し合えば認識をそろえられるはずだが、多くの場合、議論が「数字(KPIなど)」の話に終始してしまっている
数字の議論だけでなく、「数字の中身」(顧客インサイトなどの定性データ)まで含めて、チーム内で共通認識を持つことが重要
たとえば同じ「コンバージョン1」でも、「とても気に入って買った1」なのか、「たまたま買った1」なのかで、次の判断は変わってくる
「数字の中身」を語れないと、認識も施策もバラバラになっていく
特にリテール領域では、オフライン(店舗)とオンライン(Web)で得られる情報の量や種類(定性・定量)が変わってくる
部門を超えてインサイトを話し合い、共通認識をつくりあげていくことが重要
スキン&マインドケアブランド「SENN」におけるインサイト管理の事例を紹介する
SENNでは初期からコンセプトや世界観を磨き上げてきた一方で、チーム内の顧客認識をそろえることには難しさを感じていた
顧客認識をそろえる手段として、独自にインサイト管理のフレームワークの運用を始めた
当時は、商品・ターゲット・ペイン・解決したいジョブ・施策などの項目を記載していた
ただし運用初期は、メンバー間で言葉の捉え方が違うなど、整理し直す負荷が大きかった
地道にメンバーとの認識合わせを続けながら、392件ものインサイトを蓄積した
SENNでのインサイト例 : オールインワンシャンプー
オールインワンシャンプーは、シャンプーとトリートメントが一つになった商品
「時短=楽できるアイテム」と捉えることもできるが、実際には「“余計なケアをしない”ことで、むしろ上質な体験になる」という声もあった
その背景には「オーバーケアへの罪悪感」があり、余計なケアをしたくない心理があった
一方で、オールインワンシャンプー成分が充実しているため、スペシャルシャンプーとして「週末のご褒美」に使う人もいた
同じ商品でも、顧客から選ばれる理由は複数ありうる
選ばれる理由をインサイトとして管理できていれば、売り方も戦略的に変えられる
ブランドコンセプトである「リトリート」の一貫性は保ちつつ、「時短」「オーバーケアではなくシンプルケア」「スペシャル」など、複数の訴求を戦略的に使い分けていた
成果として、SENNはリピーター率7割を実現した(LTVが高い)
さらに、広告の獲得単価が商品価格を下回る水準だった(広告効率が高い)
これらは偶然ではなく、インサイト管理を粘り強く続けたことで、「誰が、なぜ買っているか(選ばれる理由)」への解像度が高まり、再現性をもって生み出せた成果である
インサイト管理や共通認識づくりは、初期は特に大変で、手間暇をかける必要がある
ただし、継続するうちにチームに一体感が生まれ、筋の良い施策を打てるようになる
インサイト管理によって、顧客理解の初期位置が引き上がることで、新人や経験が浅いメンバーでも活躍しやすくなる
まとめ : 成果につながるCRMにはブランディングが必要で、その基盤として定性×定量のインサイト管理を徹底することが重要
Centouを活用したインサイト管理の具体的なイメージを紹介する
題材として、架空のシャンプーブランド「CENN」を用いる
シャンプーブランドにまつわるインサイトの分類は、例えば、「現状・悩み」「初回購入のチャネル・動機」「継続利用」などの切り口で設計できる
分類の切り口は、ブランドや事業によって、事業領域・ユースケース・利用ステップなど、自由に設定できる
「インサイトの分類をどうするか」は、「事業をどう伸ばすか」という問いとほぼ同義
事業目的に沿ってインサイトが整理・格納された、いわば「インサイトの冷蔵庫」ができれば、顧客認識も揃いやすく、必要な時にすぐインサイトを取り出せるようになる
例えば「現状・悩み」カテゴリの中に、「梅雨に髪がうねって広がるのがストレス」というインサイトがあるとする
Centouでは、そのインサイトに対する根拠(一次情報)をセットで確認できる
チーム内で顧客認識がズレる要因の一つは、「どんな文脈・温度感での発言 / 行動か」といったニュアンスが共有されにくいことにある
インサイトと根拠をセットにして、構造的に蓄積していく(=インサイトの冷蔵庫をつくる)ことで、顧客認識のズレは起こりづらくなる
Centouでのインサイト抽出の大まかなプロセスを紹介する
まずは、インタビュー・日報・接客メモなど、さまざまな一次情報を蓄積する
次に、一次情報を手動または自動でインサイトにひもづける
近しいインサイト同士をグルーピング・構造化する
これを繰り返すことで、自社なりの「インサイトの冷蔵庫」が育っていく
インサイト抽出の考え方は、探偵の推理を例に考えると理解しやすい
例えば、「インサイト = 犯人(特定したい対象)」「一次情報 = 現場の証拠」だとする
犯人を特定する流れは、最初に「この人が犯人だ」と仮説を立てて証拠を集める方法もあれば、さまざまな証拠を集めながら犯人を絞り込む方法もある
今、誰がどんな仮説・証拠を持っているかが可視化され、紐づけられるほど、インサイトの確からしさが高まっていく
確からしいインサイトが蓄積されていくと、商品企画・CRM・接客など、さまざまな場面の施策に活かせるようになる
インサイトへの共通認識がつくれると、部署や役職が違っても顧客認識がズレない
「どのインサイトを満たすか」という軸がそろっていれば、施策の一貫性も保たれる
インサイトが可視化されると、「そういえば、あのお客さんも言っていた」といった形で、さまざまなメンバーから根拠が付け足され、インサイトが育っていく
どのツールを使うかにかかわらず、自社の“インサイトの冷蔵庫”を充実させられれば、施策の筋の良さが高まり、その先のLTVも伸びていく
デジタルの世界からリテールの世界に来た者として、リアルな空間や、人と人が対面することの価値を改めて感じている
インサイト管理は、数値化されづらい顧客の行動や感情の機微を拾い上げ、整理し、活用していく考え方
現場で得たインサイトを「聞いて終わり」にせず、蓄積し続けていくことが重要
最初は周囲の理解を得づらいこともあるが、続けるうちに「脳内の蓄積に依存した顧客理解」を超える資産となり、高く評価されるようになる
インサイト管理は、やればやるほど複利が効く一方で、やらなければ属人化や認識のズレといった負債が積み上がっていく
事業やLTVを大きく伸ばす“資産”をつくる視点で、小さな一歩からでも始めてみてほしい
吉岡 芳明 (株式会社Bricolage&Lo代表取締役 / ブランディングディレクター)
サイバーエージェント・グループにて新規事業を担当。株式会社TO NINEの共同代表取締役としてスキン&マインドケア「SENN」を立ち上げ、ブランドディレクターとして活動。2025年に株式会社Bricolage&Loを設立。コスメ、ファッション、ジュエリー、フード、ペット、銀行など多様な業界のブランディング支援を手がけてきました。また、複数の自ブランドの立ち上げ経験を持ち、ブランディングディレクターとして幅広く活躍。
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