新しいユーザー理解の時代へ —— Centouが生まれた理由とコンセプト
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ユーザーリサーチ、デザイン思考、リーンスタートアップ...あらゆる場面で「ユーザー理解」の重要性は叫ばれ、ユーザー理解をビジネスのプロセスに組み込む動きは年々増加しています。
市場の競争環境も大きく変化しています。AppStoreでは約178万ものアプリが配信され(2022年時点)、一方で、日本人が1ヶ月で使うアプリは平均40(2021年時点)だと言われています。
アプリに限らず、Webサービスや消費財、あらゆるサービスやプロダクトは、「どうつくるか?」から「どう選ばれるか?」へと焦点が変わっています。
そんな中生まれたサービスが、インサイトマネジメントSaaS「Centou」です。このブログでは、Centouが生まれた背景や、実現する世界をご紹介します。ご利用いただく皆さまやこれから導入を考えている皆さまの参考になると幸いです。
なぜCentouは生まれたか?
Centouの開発を行う、almaという企業ではプロダクトを成長させるために、(似た境遇の方もいらっしゃるかもしれませんが)以下のような悩みを抱えていました。
- ユーザーインタビューやユーザーテストを行うものの、当事者以外は十分に理解ができない(都度デブリーフィングなどの振り返りを行うのも大変)
- インタビューの議事録は貯めているものの、過去のものは実質見返さない(文脈も分からない・読み取りの負荷が大きい)
- インタビューやユーザーテストの結果は、断片的で情報として弱い(施策単位の仮説検証ならなんとか活用できるが、戦略レイヤーへの情報としては弱い)
つまり、Centouのサービスサイトでも触れられているように、定性的なリサーチデータの扱いづらさや組織内での立ち位置の弱さ、意思決定への反映のしづらさを感じていました。

結果として、エンジニアとPMなど職種ごとの認識の違いが生まれたり、使われない機能のリリース、響かない訴求、など筋の悪い施策を量産し、どんなゲームかも分からないまま事業運営をしていました。
このような悩みを解決するために社内ツールとして開発を始めたのが、Center of User、略してCentouです。
3つのコンセプト
リサーチ情報やユーザーの定性情報を、あらゆるレイヤー(施策から戦略)の意思決定で活用できるようにすることをゴールに、Centouの開発は日々続けられています。

これまでにも、ありがたいことに約200名のユーザーリサーチに関わる職種の方々ともお話しながら、解決すべき課題や解決策の検証を重ねています。
開発を行う中で、大きく3つのコンセプトを定めています。これらのコンセプトは、私たちが「リサーチ活動」「ユーザー理解」などに対するスタンスでもあります。
- 「議事録ベース」から「コンポーネントベース」へ
- 「一度で結論」から「徐々に核心」へ
- 「リサーチはリサーチャーのもの」から「リサーチは全員のもの」へ
1. 「議事録ベース」から「コンポーネントベース」へ
特に事業会社やITスタートアップなどで行われるユーザーリサーチは、ユーザーインタビューの実施後、議事録をまとめて終わる場面が多く見られます。
もしくは、議事録をベースに箇条書きのサマリーをまとめたり、多少のタグづけをしたり、仮説に対しての検証結果をまとめるといった具合です。
「議事録ベース」なこの考え方は、以下のような点で、非常にリスクのある考え方であると捉えています。

- ごく一部のユーザーへの調査によって、仮説の正しさが判断されてしまうリスク(リクルーティング依存なリサーチ)
- まとめるリサーチャーの力量や観点によって、得られる情報が異なるリスク(リサーチャー依存なリサーチ)
- 情報を受け取る人のリテラシーや経験値によって、解釈が異なるリスク(受け手依存なリサーチ)
施策決定に対して強力な判断材料になったり、組織のさまざまな部門で活用されたり、戦略レイヤー・経営レイヤーまで活用するには、不十分な方法だと言わざるを得ません。
そこでCentouでは、議事録というまとまりではなく、その中の感情や行動を、コンポーネント(※ 部品やパーツのようなイメージ)として要素ごとに分解し、切り出す「コンポーネントベースのリサーチプロセス」を提供しています。

コンポーネントベースで考えることで、より正確な理解ができるのはもちろん、「あのインタビューと、このインタビューで同じこと言っていた」など共通化し、俯瞰することが可能になります。
2. 「一度で結論」から「徐々に核心」へ
旧来のリサーチでは、「3ヶ月間〜1年間、まとめてリサーチを行って、綺麗なパワポ資料を作成して...」といったように、一度のリサーチで大きな結論を出すようなリサーチが多くありました。
一方で、開発プロセスがアジャイルになり、新規サービスが出るスピードが早まっていくにつれて、リサーチにもより柔軟で、より細かな単位での結果共有・軌道修正が求められるようになりました。
そこでCentouでは、事業やプロダクトの成長とともに、徐々に核心に近づけるようなリサーチプロセスを提供しています。
このようなアジャイルなリサーチを行うため、Centouにおける「インサイト」は、あえて広く定義しています。

狭義のインサイト | 潜在的な欲求やそれに類するもの |
|---|---|
広義のインサイト | 抽出したファクトから、それらを統合して得られた潜在的な欲求まで |
一発で綺麗な結論を導くのではなく、事実から真実へ、ファクトから潜在ニーズまでをグラデーションとして捉えられるように、まるでソフトウェアのようにインサイトを育て、運用していけるように、Centouは設計されています。
参考 : Centouでの「インサイト」の定義や考え方について
3. 「リサーチはリサーチャーのもの」から「リサーチは全員のもの」へ
これまでのユーザーリサーチは、「リサーチャーが特殊なスキルを使って行うもの」として、専門的で、時に触れづらいものでもありました。
専門性が必要な箇所も存在する一方で、プロダクトや事業の意思決定に自然とリサーチが入り込むためには、概念や成果物の理解のしやすさ・プロセスへの参加しやすさが非常に重要になります。
特に定性情報は、(定量データと比較して)キャッチーではなく、分かりづらいことも多いです。放っておけば「なんか、良さそうだけど、よく分からない情報...」となる場合がほとんど。
また、近年ではPMやマーケターもユーザーインタビューを積極的に行うなど、もはやリサーチという活動はリサーチャーだけではなく、あらゆる職種の人が行う可能性があるものになっています。そして、一部のセールスやCSなどは、すでに「リサーチ的な活動」を行っている場合もあります。
そのため、Centouはリサーチャー限定ツールではなく、リサーチに関わるあらゆる職種のためにデザインされるべきだと考えています。
そして、リサーチへの関わり方は「インタビューを行う人」などリサーチ(実査)を担当する人だけではなく、分析を行う人、データの報告を受ける人、データを活用して施策を考える人、などさまざまな立場がいます。
多様な役割を持つユーザーが利用するCentouでは、以下のような常にシンプルな設計を心がけています。
- 必要以上に難しく感じないようにすること
- なるべく簡単にすること(でも、十分に深い分析 / 自由な表現ができること)
さいごに
ここまでお読みいただきありがとうございます。皆さまのリサーチ活動が、Centouを通じて、チームや事業の大いなる強みになることを願っています。





